モリガンぶっ飛ばす
ミハエルは不意に空を見上げ何かを補足した。
「おっぱい!」
何か肉眼で見えたわけではない。
彼は霊気で感じた。
それだけ叫んで、ミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒは、左手に霊気のエネルギー波を準備して空の明後日に方向に向かって放つ。
端から見れば気が狂ったと思う光景だ。
「あんた…………」
水鏡冬華が呆れ気味にうめく。
「えっ、なになに? なにかいた?」
天馬蒼依が空を見上げる。
「モリガンだな。あれは。厄介な女神だ」
と、ブラックヴァルキリー・カーラが仏頂面で呟く。
ブラックヴァルキリー・カーラが空へ飛び立つ。
上空で停止し、声をあげる。
「モリガン! 出てこい! 何をする気で現れた!?」
出てきたのは、黒いワンビースの服の神殿にいそうな雰囲気の黒い羽が生えた黒い髪の女だ。が、右肩が腫れている。ミハエルのエネルギー波を避けきれなかったのだ。そしてモリガンの防御も貫通した。
「大天使ミハエル」
「死ね、乳神。大天使じゃねーわハゲ」
ミハエルは自分を大天使呼ばわりする女に毒を吐き、続けざまにエネルギー波を放った。モリガンは必死に避けようとするが、何発か当たってよろけている。
「ぐっ、ふぅううぅ!」
モリガンはミハエルのエネルギー波を翼を持っているにもかかわらず避けきれずに、自分を気で覆い防御しているにもかかわらず、黒い服もビリビリに破けかかっている。お腹に突き刺さったミハエルのエネルギー波。
「ぐほぁあっ!」
唾液を垂らして痛みを我慢するモリガン。
「カラスの防御はどうした?」
ポケットに手を突っ込んだまま、霊波動でモリガンの高さまで浮くミハエル。
「ぶ、ブラックウィンド!」
カラスの羽と共に、モリアンが防御ではなく、風の攻撃をミハエルにしてきた。
ミハエルはクロスアームブロックをして、霊気の膜で防ぐ。
「もっとしないの? こう、ヴぁーっとさ」
「?」
モリガンがミハエルに疑問符を浮かべる。
「全方位攻撃」
「あなたに通じるとは思えません」
「そ。まぁ攻略法広まってるしな」
短くミハエルは答える。
「じゃあ大人しくわたしに殺されるんだね、ダーナ神族」
「だから――こうします!!」
モリガンが食い気味に叫び、両手を天に掲げる。
カラスの羽も手のひらの上、上空に集まる。
そして無数のカラスの羽が展開する。
それをつまんなそうに見ているミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵。
「うわーカラスの羽で真っ暗だ。明かり欲しいねー」
そんなことをのんきに呟く天馬蒼依の声が上空まで聞こえる。
それを聞きつつ、ミハエルは声をはって言う。
「大天使ルシフェルは仮想現実を作る事を目標としていた。
ミハエルは昔のこと
大天使ルシフェルは仮想現実を作る事を目標としていた
https://kakuyomu.jp/works/16818023211859110800/episodes/16818023212030581856
を思い出しつつ、
『神が作った別の新しい世界を作りそこに人々を現実世界から招き入れる』
それは"神への反逆"である。
ルシフェルが神話の時代にやった事もムーンショットなんだ。そしてルシファーは堕天使となる。仮想現実いいじゃーんて同調したのが1/3いたんだよな。
ルシファーが現実を滅茶苦茶にする前は神と愛として調和がある世界だったのだが。
ルシファーの世界はすべての可能性がある危険な世界。
ルシファーの世界の特徴は惨劇の可能性がたかい。可能性がどんな方向にも伸びているから。
そしてフラワーオブライフ。ルシファーのフラワーオブライフは目が2つある。このせいで2元論がよく成り立ち手を取り合うことなく対立しやすい世界になってる」
貴様のこの技は前くらったルシファーのVR能力に似ているな。こんな力まで使って、ルシファーと同じくらいまで堕落したか? モリガンよ。トゥアハ・デ・ダナーン、ダーナ神族よ」
「言いたいだけ言えばいい。戦の神が招待する。戦いの時代へ!」
「受けよう。くだらないVRを」
余裕綽々の霊気でモリガンと同じ高さまで空に浮いているミハエル=シュピーゲル=フォン=フリードリヒ公爵。
そんな彼と、彼一行を無数のカラスの羽が飲み込んで、ミハエル達はある時代まで飛ばされた。
「神話は未来を先取りする……いけ、あの時代へ!」
モリガンが目つき鋭く叫んだ。
「間もなく始まる。世界を変える戦いが」
ミハエルは眉をひそめた。北欧神話において、世界を変える戦いといえば一つしかない。
「ラグナロク……?」
「そう」
モリガンの唇が歪む。
「そして私たち、ダーナ神族はその結果を変える鍵を握っている」
彼女は両手を広げ、再び羽が彼女の周りに集まり始めた。
「わたしに従うか、この地で滅びるか。選びなさい」
天馬蒼依が小声で言った。
「ねぇミハエルさん、この人マジでやばくない?」
「まったくだ」
ミハエルは静かに言った。もう一つ結晶を握りしめ、力を蓄える。
「お前は殺すぞ。戦いの女神」
彼が前に踏み出した瞬間、遠くから角笛の音が響き渡った。村からだ。戦いの合図。
モリガンの笑みがさらに広がる。
「遅すぎたわ。始まる、神々の黄昏が」
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