俺自身のものならいいんだよな! なら根性だ!

「俺自身のものならいいんだよな!」

「ん。まぁ。そうだね」

 声を張り上げた男は丸腰でサリサの前に立ちはだかった。

「なら、くらえ根性だ!」

 ひょいとかわしはしたが驚きの色を隠れないサリサ。

「へえ。さっきまでの戦い見て恐れないんだ」

 そう言ってサリサは攻撃をかわす。

(だが嬉しそうだな)

 ミハエルは根性マンと戯れるサリサを見てそう思った。

「ぐぁあああっ、うぐぁぁあああっ!」

 サリサは根性マンの右腕、右足をバキバキに折りつつ様子を見る。これで(泣き言って意味で)悲鳴を上げるようなら偽根性マンである。と決めて。

「惜しむらくはルシファーと契約してる所ね~。

 その根性あれば、変な女神はねのけてあなた自身の力で立ち上がれそうだったのに。

 戦場で産声を上げた赤ちゃんなんて今の君より不幸よ~、君は戦場の赤ん坊じゃない。どうするの?」

「サリサ。肉食獣の残虐性が出ている。

 今すぐやめて彼の足と手を治してあげろ。そうしないなら、わたしが彼の味方になって君と戦うぞ」

 ミハエルが見かねて声をかける。ミハエルの筋肉が一段階膨らむ。

「ごめんごめん、どこまでやるか見たかったのよ、いいもの持ってる顔してたから

 なんでこんな輝いた目できるのがルシファーのアホ誘いに乗ったのかなーって」

 サリサは左手にやさしい光を持った。霊波動の癒しの技だ。

「ホラ。右腕右足どっちが先でもいいよ」

 バシッ!

「いらない! お前のは力持つ者が故の傲慢だ! そんな物の施しなど受けたくない!」

 それを見てミハエルがおぉ、とうめいた。

「確かにこういう立派な行動を痛み我慢しながらとれるってなんでルシファーのムーンショットやってるんだ……?

 さゆ、彼は傷つけるな。って他の面々にも妖力で連絡しておいて。

 なぜかムーンショット組に入っているが人格まともだ」

 とふわりふわり飛んできたさゆ――十二単でふわり飛ばれるとすごい目立つ――にそう連絡する。

「人間もさ。色んな制限の中で頑張ってるよね。

 『お前のは力持つ者が故の傲慢だ!』

 ってわたしもドキッとしちゃったよ」

 と、さゆ。

「でも血失うのはキッツいでしょう。千島学説知ってるなら血がどれだけ大事かよりわかる。わたしが癒してあげるから」

「く、貴様らの施し……」

「ホラ気を失いかけてんじゃない。やるわよ!

 【桜癒し】!」

 彼女が癒しの術を使うと根性マンは桜の花びらに埋没したようになった。

「いつも思うけど綺麗ねアンタの癒しの術」

「サリサちゃん、へっへっへ~~~~~これ木花咲耶姫様このはなさくやひめ直伝ですよ~~~~」

「じゃあ根性すごい人任せていい? さゆ」

 と、ミハエル。

「オッケー。サリサに任せたら喧嘩始めそうだしね」

 サリサがエネルギー弾を天まで放り投げて自分のエネルギー波を当てて相殺している。

「私達もドキッとするくらいのオベンキョだね!」

「そうだな、さゆ! じゃあサリサはわたしと行動ね」

「ん、わかったミハエル……すりすり」

 元ムーンショット組だったグリン、陽夏は、根性マンを少し見やる。

「この人わたしが遺伝子元通りにしてルシファーのリンクはぎ取ってあげるから先に行っていいよ~」

 元ムーンショット組のグリン、陽夏はそれを聞いて軽く頭を避けてさきに進んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る