第9話

そんなある日のこと、ついに彼が目を覚ましたという知らせを受けたので急いで部屋に向かうとそこにはベッドの上で起き上がっている彼の姿があった!それを見た瞬間に涙が溢れてきてしまった私を見て彼は優しく微笑んでくれた後に言ってくれたのである。「心配をかけてすまなかったな、ローザ。だがもう大丈夫だ!」と言って笑顔を見せてくれたので私も笑顔で応えることができたのだった……そしてその後は皆でお祝いをすることになったのだが、グレッグさんは何かを隠しているような様子だった。「グレッグさん、どうしたんですか?」と私が尋ねると彼は少し困った顔をした後で答えてくれた。「実はな……話があるんだがいいか?」と言われたので私たちは顔を見合わせた後で頷いたのだった。すると彼は真剣な表情になった後で話し始めたのである。それは衝撃的な内容だったのだが、その内容を聞いた瞬間に私たちは言葉を失ってしまったほどだった……なんと彼が魔法によって操られていたというのだ!私たちがグレッグさんを探している時、彼は魔法に抗っていたらしい。しかし最終的には負けてしまい意識を失ってしまったようだ。その後、研究所に連れていかれてしまったらしいがそこでも同じようなことを繰り返されていたという……そして最後に彼に「ごめんな」と言われた時は涙が出そうになったのだが、それでも必死に堪えて頷いてあげることにしたのだ。

こうして私たちはグレッグさんを救い出すことに成功したわけだが、まだ問題は山積みだった。まず一つ目はゴーレムをどうするかだ。

シュヴァリエ様が魔法で動きを封じ込めているらしいが、それがいつまでもつかもわからない。

二つ目は街の復興だ、街は壊滅的な被害を受けており復興までにはかなりの時間がかかることが予想されている。

三つ目は研究所についてだ。今回の件で多くの人命が失われてしまったため、国としても対策を取らなければならないだろう。

こんな風に多くの問題が残っているが、一つ一つ解決していくしかないだろうと思っている……

「皆さん、これからもよろしくお願いします!」と私は頭を下げた後で仲間たちの顔を見回したのだった。すると彼らは笑顔で応えてくれたのでとても嬉しかったのである...........

それからというもの私たちは毎日忙しく過ごすことになったわけだが、その中でも特に印象に残っている出来事があったのだ。

それは、ある日のこと私が街を歩いている時に偶然にもグレッグさんの姿を見つけたことだった!彼は元気そうな姿で歩いているのを見てホッとしたのだが、同時に心配にもなったため声をかけることにしたのである。

「こんにちは、グレッグさん」と言うと彼は驚いた顔をした後に、笑顔で応えてくれたのだった。「おお、ローザじゃないか!久しぶりだな」と言われた時には少し照れくさかったのだがそれ以上に嬉しかったのである。

それから私たちは一緒に食事をすることになったのだが、そこで色々な話を聞くことができたのだ。中でも興味深かったのはあのマナクリスタルについての話で、私が尋ねると彼は詳しく説明してくれた後に言ったのである。

「意識が朦朧としていた時に聞いたんだが、あのマナクリスタルというものは、科学者の手だけではなく1人の大魔法使いも関わっているらしい。名前は忘れてしまったが、聞いたことのある名前だった。」とのことだったのだが、そのことを聞いて私は驚きを隠せなかった。何故ならその人物は伝説上の存在だと言われており、実在するとは思っていなかったからだ……

「その大魔法使いって.........?」と私が言いかけたところで彼はハッとした表情になりしーっと指を立てた後に言ったのである。「それ以上はいけないよ」と言われた時には思わずドキッとしたのだが、それでも聞きたいという気持ちを抑えることができなかった私は思い切って尋ねてしまったのである。

すると彼はしばらく考え込んだ後で答えてくれたのだ。

「まあ、いずれ分かることだしな……」と濁したのだった。

それからというもの私たちは毎日のように会って話をするようになったわけだが、その中で分かったことがあったのだ……それは彼が魔法に対して強い恐怖心を抱いているということであり、それが原因で魔法を学ぶことを避けているということだった。そのためか戦闘に参加する時は、やはり物理攻撃がメインになってしまうようだ。しかしそれでも十分に強いことには変わりはなかったのだが、やはり心配ではあったので一度聞いてみたことがあるのだ。

「グレッグさん、大丈夫ですか?」と私が尋ねると彼は微笑んでくれた後で答えてくれたのである。

「ああ、もちろんだとも!俺には仲間がいるからな!」と言って胸を叩いて見せたのだった……そんな彼の姿を見て安心した私は安心してその場を後にしたのだった……

それから数日後のこと、ついに私たちは最後の決戦に臨むことになったのである。相手はあのゴーレムだ。シュヴァリエ様によると、このゴーレムは魔法によって生み出されたものであり、しかもかなりの力を持っているらしい。

もしかして、グレッグさんが言っていたあの大魔法使いの仕業なのだろうか?

「皆さん、準備はいいですか?」というシュヴァリエ様の質問に対して私たちは力強く返事をした後でそれぞれ配置につくことになったのだ。私はグレッグさんと一緒に前衛を務めることになっているので気合いを入れることにする! まず最初に動いたのはシュヴァリエ様だった……彼は手を前に突き出し呪文を唱えると凄まじい光を放つ魔法陣が現れたのである。その光はどんどん大きくなっていき、やがてゴーレムを包み込むほどの大きさになったところで一気に解き放ったのだった!すると次の瞬間には辺り一面を覆い尽くすほどの光が広がり、その眩しさに一瞬目が眩んでしまったのだ。しかしそれも束の間のことですぐに視界が元に戻った時にはゴーレムの姿はどこにもなかったのである!

「やった!」と思わず叫んでしまった私だったが、次の瞬間にはそれが間違いであることに気づいたのだ............何故なら私の目の前には巨大なゴーレムの姿があったからだ!しかもそれだけではなく、他にも三体ほど現れていたのだから驚きを隠せなかった。

「どうして!?」と思っているうちにも次々と襲いかかってくるゴーレムたちに対して私たちは必死に応戦していた。

まずグレッグさんが剣を抜いて斬りつけると一体目のゴーレムの腕が切断されたのだ。それによってバランスを崩したゴーレムはそのまま地面に倒れこむことになったのだが、その間に残りの二体が攻撃を仕掛けてきたことでグレッグさんも避けきることができずダメージを受けてしまったようだった……

「ぐっ……!」と言いながら膝をつく彼を見て、メアリーさんはすぐに回復魔法をかけたのである。幸いにも傷は浅かったため大事には至らなかったようだがそれでも油断はできない状況だった。

その後も私たちは戦い続けたのだが、やはり数の差が大きく徐々に押され始めてしまっていた……このままではまずいと思った私は思い切って前に出ることに決め、ゴーレムに向かって走り出したのだ!

「うおおおぉぉ!!!」と叫びながら剣を振り上げる私に対してゴーレムたちは一斉に攻撃を仕掛けてきたのだが、それを全て紙一重で避けた後、カウンター攻撃を叩き込むことに成功したのである!それにより一体目を倒すことに成功した私は続けて二体目に狙いを定めたのだが、そこで思わぬ出来事が起きてしまったのだった……なんと三体目が背後から襲いかかってきたのだ。咄嵯の判断が遅れたため避けることができず攻撃を受けそうになったその時だった……!

「危ない!」というテオフラトゥス様の声と共に放たれた魔法によってゴーレムが吹き飛ばされたのだ。それにより私は助かったのだが、同時に隙を作ってしまったことで次の攻撃を受けることになってしまったのである...........

「わぁっ!?」という悲鳴を上げながら地面に倒れそうになった私に向かって襲いかかってきたのは最後の一体だったのだが、そこでテオフラトゥス様が助けてくれたおかげで命拾いすることができたのだ!その後なんとか体勢を立て直すことができた私たちだったが、未だにピンチであることに変わりはなかった..........どうすればいいのか悩んでいると、突然グレッグさんが口を開いたのである。

「皆、力を授けてくれないか!」という彼の言葉を聞いた私たちは一瞬戸惑ったもののすぐに覚悟を決めることにしたのだ。何故なら今は非常事態なのだから迷っている暇はないと思ったからである.........

こうして私たちは力を合わせて戦うことになったわけだが、果たして上手くいくだろうか?不安を抱えながらもやってみるしかなかったのである……!まず最初に動いたのはテオフラトゥス様だった。彼は地面に魔法陣を描くとそこから光が放たれグレッグさんを優しく包み込んだのである!

「す、すごい...........!」と思わず呟いてしまった私に彼は笑顔で応えてくれた後に言ったのだ。「まだまだこれからだ!」と言って再び魔法を使い始めたのである。今度はメアリーさんが呪文を唱えてグレッグさんに力を与える魔法を使った後で、最後に私が彼に向かって手をかざすと光が溢れ出したのだった!すると次の瞬間には彼の身体が光り輝き始めたのである……!

「これは一体...........?」と思っているうちにもどんどん力が湧き上がってくる感覚があり、それが収まる頃には彼は別人のように変わっていたのだ!その姿はまさに鬼神の如くといった感じであり、圧倒的な威圧感を放っているように見えた。そしてそんな彼がゆっくりと歩き出したかと思えば次の瞬間には目にも留まらぬ速さで動き出しゴーレムたちに攻撃を仕掛けていったのだ!その動きはまるで舞っているかのように美しくもあり、それでいて力強くもあったのである。その結果としてゴーレムたちは次々と倒されていき最後に残った一体もグレッグさんの一撃で止めを刺すことに成功したのだった……

「やったー!」と叫びながらハイタッチを交わす私たちだったがグレッグさんだけは何故か浮かない顔をしていたのだった。「どうかしたんですか?」と私が聞くと彼は少し考えた後で答えてくれたのである。

「いや、何でもないんだ……気にしないでくれ」と言った後、すぐに笑顔に戻った彼だったが、私には彼の姿が疲弊しているということが見るからに分かっていたのでそれ以上追及することはできなかったのだ……

それから私たちは研究所へと向かっていた。

道中では色々な話をしたのだが、特に盛り上がったのはグレッグさんのことについてだったように思う..........彼が今までどんな人生を送ってきたのかを知ることができて良かったと思っているし何より彼自身が自分のことを話してくれるようになったことが嬉しかったのだ!きっと少しずつ心を開いてくれているということなのだろうと思い嬉しくなった私は思わず笑顔になってしまったほどだった……

そんな私を見て不思議そうな表情を浮かべるグレッグさんだったが、それでも気にせず話を続けることにしたのだった。

それからしばらく歩いたところでついに目的地に到着したのだがそこで見た光景に私たちは言葉を失ってしまったのである……何故ならそこには巨大な穴が空いており、しかもその周辺には瓦礫の山が出来上がっていたからである。

「一体どうなっているんだ.........?」と呟くグレッグさんに対して私もまた同じ気持ちだったわけだが、そこでふと思い出したことがあったのだ……それは以前シュヴァリエ様から聞いた話では、研究所には隠し通路があるという話だったのだがもしかしたらそれがこの先に繋がっているのかもしれないと思ったのだ。

そこで私たちは恐る恐る中へと入っていったのだが、案の定というべきかそこは行き止まりになっていたためガッカリしてしまったのだった……しかしその時だった!突然地面が大きく揺れ始めたかと思うと、次の瞬間には天井が崩れ落ちてきたのである!

「気をつけてください!」というシュヴァリエ様の叫び声が聞こえ、私たちはなんとか避けることができた。だが安心したのも束の間、今度は壁や天井が次々と崩れ始めたため逃げる場所が無くなってしまったのだ……このままではまずいと思った私たちは必死に抵抗を試みたのだがそれも虚しく時間だけが過ぎていったのである……

「くそっ!このままじゃ...........」とグレッグさんが言いかけたところで突然地面が盛り上がり始めたかと思うと巨大なゴーレムが現れたのだった。しかも一体だけではなく次々と現れるものだから私たちは完全に包囲されてしまい逃げ場を失ってしまったというわけである……

「くっ……!」と言いながら武器を構えるグレッグさんとメアリーさんに対して私もまた同じように構えを取った後で覚悟を決めることにしたのだ。ここで死ぬわけにはいかないのだ!絶対に生きて帰るのだと心に誓いながら戦う覚悟を決めた私は全力で立ち向かうことにしたのだった..........


一方その頃、研究所内ではシュヴァリエたちが必死に戦っていた。その理由はゴーレムの数があまりにも多すぎたためである。一体ずつなら倒すこと自体は難しくはないのだが如何せん数が多すぎるため対処しきれないというのが現状であった。そのため現在は逃走に専念しているわけだがそれでもなお追ってくるゴーレムたちに対してテオフラトゥスが魔法を使って足止めをしてくれたおかげで何とか逃げ切ることに成功したのである。

「テオフラトゥス様、援護をお願いします!」

「ああ!」と返事をした後で魔法を使い始めるテオフラトゥスだったが、そんな彼に対してゴーレムたちは一斉に攻撃を仕掛けてきたため防御に専念する必要が出てきたようだ。

しかしそれでもなお何とか持ちこたえることができたようで攻撃を凌ぎきった後は反撃に転じることができたため無事に撃退することができたのだった……

その後、シュヴァリエたちは研究所から脱出するために行動を開始したわけだが、道中で何度もゴーレムたちに襲われてしまいその度に苦戦を強いられることになったのである。特に最後の一体に関してはかなりの強さを持っており、倒すまでにかなりの時間がかかってしまったほどだった……

そのため体力的にも精神的にもかなり疲弊してはいたのだがなんとか倒すことができたことでようやく外へ出ることに成功したのだった。

しかし外に出た瞬間に目の前に広がっていた光景を見たシュヴァリエたちは言葉を失ってしまったのだ……

何故ならそこには巨大なクレーターができており、その中心には研究所があったはずの場所には大きな穴が出来上がっていたからである。しかもそれだけではなく辺り一面には瓦礫の山ができあがっており酷い有様となっていたのだ……

「これは……グレッグさんとメアリーさんとローザは!?」と焦るシュヴァリエに対して、テオフラトゥスが宥める。「落ち着きなさい。おそらく三人は無事だ。」

「どうしてそう思うんですか?」と聞き返すシュヴァリエに対してテオフラトゥスは冷静に答えたのである。

「実は先ほど研究所の方から大きな力を感じたんだ..........恐らく三人が戦っていたのだろう」

それを聞いたシュヴァリエは安心した表情を浮かべた後で、改めて周囲を見渡してみたのだがやはり二人の姿はなかったようだ……しかしそれでもまだ希望を捨てずに探すことにしたのだった。そしてしばらく探しているとついに見つけることができたのである!

それは瓦礫のそばにいたグレッグとメアリーとローザの姿だったのだ!

「皆さん、ご無事でしたか!」と言いながら駆け寄るシュヴァリエに対して彼らは笑顔で応えてくれたのだった。どうやら三人とも怪我などはしていないようで安心したのだが、問題はここからどうやって脱出すればいいのかということだった……というのも周囲にはまだゴーレムたちが残っているため迂闊には動けない状況だったのである。

「とりあえず今は安全な場所まで逃げましょう」と提案するシュヴァリエに対して全員が賛成してくれたので急いで移動を開始したのだが、道中では何度もゴーレムたちに遭遇する羽目になってしまいその度に戦闘を行う羽目になったためかなり消耗してしまったようだ。しかしそれでも何とか逃げることに成功した彼らは近くの洞窟に身を隠すことにしたのだった。

そこで一息つくことができたわけだが、改めて周囲を確認してみるとそこには大量のゴーレムたちが徘徊していることがわかったため油断はできない状況だった……そんな中でグレッグさんが話しかけてきたのである。

「すまないな、俺のせいでこんなことになってしまって……」と言いながら落ち込んでいる様子だったので、シュヴァリエが話しかけた。

「いえ、気にしないでください。それに悪いのはグレッグさんではありませんから」と微笑みながら言う彼に対して、グレッグは少し驚いたような表情を見せた後でありがとうと言った。



私たち3人はシュヴァリエ様たちとはぐれた後、かなりの時間ゴーレムとの戦闘を繰り返していた。「ふぅ、これで最後かな」と呟きながら剣を鞘に収めるグレッグさんに対して私もまた同じように武器を下ろした後で言った。

「そうですね、やっと片付きました」と言いながら額の汗を拭う私だった。

「それにしても、ゴーレム多すぎじゃない!?どこから出てくるのよ」

メアリーさんは少し疲れた様子を見せながらも愚痴を言っていた。

確かに彼女の言う通りゴーレムの数はかなり多く、倒しても倒してもキリがないほど現れてきたため私たちもかなり消耗してしまったのである……しかしそれでも何とか切り抜けることができたので一安心といったところだろう。「とりあえず、シュヴァリエ様たちと早く合流した方がいいかもしれませんね」と言いながら辺りを見渡すと既に日が暮れかけていたことに気づくことができたため急いで戻ることにしたのだ。

その後、無事に合流することができた私たちは改めて状況確認を行った後で今後の方針を決めることになったのだが、そこでグレッグさんが口を開いたのである。

「すまないな、俺のせいでこんなことになってしまって...........」

「いえ、気にしないでください。それに悪いのはグレッグさんではありませんから」とシュヴァリエ様が言うと、彼は少し驚いたような表情を見せた後でありがとうと言ったのだ……

その後で私たちは今後の方針について話し合ったのだが、やはり一番の問題となったのはゴーレムたちを倒す方法だった。というのも現在いる場所が非常に狭く逃げ道が少ない上にゴーレムの数が多すぎるために簡単に抜け出すことができない状況になっていたからである。そのため何か良い方法がないかと考えていたところ突然メアリーさんが声を上げたのである!それは何か思いついたようだったので聞いてみることにしたのだった。

すると彼女は自信に満ちた表情を浮かべながら話し始めたのである。その内容とは、ゴーレムが現れるのは何か法則があるはずだということだった。

「例えば、ゴーレムを無限に召喚できる装置があるとか…」

メアリーさんはそう言い出したのだが、私もその考えに納得していた。なぜなら私たちを追いかけてきたゴーレムたちは一定の距離まで近づくとそれ以上は近づいてこようとしなかったからだ……それはまるで何かに阻まれているかのように見えるほどだったのである。だからこそ私はメアリーさんの提案に賛成することにしたのだ。

「確かにそれなら次々と現れるのは理解できますわね.........」

「でしょう?研究所とは別の場所にあるのかもしれないわ」

「なるほど、あり得ますね。探してみましょうか」

そんな会話をしながら私たちはゴーレムたちを倒しつつ先へと進んでいたのだが、しばらく進んだところで大きな扉を発見したのである。

「ここは一体.........?」

そう言いながらグレッグさんが扉を開けるとそこには巨大な装置があったのだった。

「これはもしかして.........」

そう言いながら近づく私たちだったが次の瞬間、突然地面が大きく揺れ始めたかと思うと壁や天井が崩れ始めると同時にゴーレムの大群が現れたのだ!しかもその数は今までとは比べ物にならないほど多くあっという間に囲まれてしまったのである。

「まずいな...........」と呟くグレッグさんに対して、メアリーさんが「どうするの!?」と言いながら杖を構える。

するとグレッグさんは剣を鞘に収めた後で私たちに向かってこう言ったのである……

「ここは俺に任せて装置を調べてくれ!」

それを聞いた私たちは一瞬戸惑ったもののすぐに行動に移った。なぜなら彼の目を見れば本気だということが伝わってきたからだ.........だからこそ私たちは彼を信じて装置を調べることにしたのである。そして数分後、ついに見つけたのだった……それは巨大なクリスタルでその中には何かが閉じ込められているように見えたのだがそれが何かはわからないままだったのだが、それでも一つだけ分かったことがあったのだ。それはこのクリスタルこそがゴーレムを無限に生み出すことができる装置だということである。しかし同時に疑問も浮かんできた……なぜこんなものが存在しているのかということである。

そこで私たちは、急いでグレッグさんの元へと戻ることにしたのだが、彼はまだ戦っている最中だったようで私たちに気づくと「早く逃げるんだ!」と言ってきた。しかし私たちはその言葉を無視するとゴーレムたちに向かって攻撃を仕掛けたのである。その結果、半数以上を倒すことに成功したのだがそれでもまだ多くのゴーレムが残っていたため苦戦を強いられることになったのだ。

「グレッグさん!今のうちにクリスタルを!」

「ああ、分かった!」と言いながらグレッグさんがクリスタルを取るとその瞬間にゴーレムたちは全て消え去ってしまったのである。

「えっ!?消えた!?」

私が驚いていると、どうやらこのクリスタルが全ての元凶だったようだ...........その後、ボロボロになった研究所前に戻った私たちは改めて状況を確認することにしたのだった。

まず最初に確認するべきことは、なぜゴーレムたちが現れたのかということである……それについて考えているうちに一つの結論に達したのだ。それはこの研究所に誰かが侵入して何かをしていたのではないかということだった。

「まさか...........」と呟くシュヴァリエ様に対して私は言ったのである。

「はい、恐らくその可能性が高いと思われます」

「つまり誰かがゴーレムを召喚する装置を作ったということでしょうか?」

「ええ、そう考えるのが自然でしょうね」

私が答えるとグレッグさんが口を開いたのである。

「しかし一体誰がそんなことをしたんだ?」

その質問にメアリーさんが答えた。

「少なくとも私たちが知っている人ではないわね」

「そうですね、恐らく別の組織の仕業でしょう」と私が言うとシュヴァリエ様が納得した様子を見せていた。

その後私たちは一旦休憩を挟んでから再び探索を開始することにしたのだった.......ちなみにその日の夜は、街に戻りきれずに野宿することになったのだがその際に見張りをどうするかという話になった時にグレッグさんとメアリーさんは私たちに任せて先に休むように言ってくれたのだ。しかし私とシュヴァリエ様はまだ眠くなかったのでお言葉に甘えて先に休ませてもらうことにしたのだが、その際にグレッグさんが「何かあったらすぐに起こしてくれ」と言いながら起きているのを見て私もまた目を閉じたのである。

翌日、私たちは朝早くに出発する準備を済ませると街に向かって出発したのだった.........。

しかしここで思わぬ事態が起きてしまったのである!なんと私たちが街に着く前に、砂嵐が起こったのである。

「まずいな……このままだと街に入ることができないぞ……」と呟くグレッグさんに、メアリーさんが提案した。

それは街には入らずに迂回して行くというものだったのだが、その案を採用することにした私たちは急いで進路を変更して進むことになったのである……しかしこの時はまだ誰も知らなかったのだ。この後さらなる困難が待ち受けていることに.........。

砂嵐を避けるために迂回することになった私たちだったが、進めど街が遠く感じる。

「あれ、こんなにも遠かったかしら?」

とメアリーさんが呟く。

「確かに少し長い気がしますね」と言いながらも走り続ける私たちだったが、次第に疲れが出てきたようでペースが落ちてきたのである。

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