第61話 嫉妬に狂う剣姫。俺の恋を邪魔する!

「カイト、お前が心配だ……」


「どうして?」


「誰かから恨みを買っている」


「ああ。分かってる」


俺はリムルから恨みを買っている。

それは分かっている。


「私が守る」


「無理するな」


「無理してない」


「だが、本当にやばい時は、お前は自分の命を守れ」


「うん」


フィーナは俺を喜ばせるために素直に頷いて見せた。

だが、こいつは俺のために命をなげうってくれるだろう。


フィーナとの親交度が100になった。


俺の脳内に南の声が響く。


フィーナと結婚する?


フィーナの白い太ももと、翳をはらんだ可愛い顔を見ていると、心が揺らぐ。

声もいい感じだし、良い匂いがする。

顔はいつも暗い表情で何だか思いつめたような感じだ。

可愛いオタク女って感じで、メイクをしっかりすれば美少女になれる。

つまり、すっぴんでもメチャクチャ可愛いのだ。

特に目が可愛い。

太めの眉と整った鼻。

卵型の小顔。


やばい。


惚れそうだ。


てか、もう惚れかけてるんですけど。


「カイト」


「フィーナ」


フィーナと結婚する?


再度、ミナミの声。


だが--


「まぁ、こんなところで、不純異性交遊だなんて、我が城が汚れますわ!やめてくださいまし!」


甲高い下げず無用な声の主は、アイラ姫。


「す、すいません」


「ま、このことは一時の気の迷いとして、大目に見てあげますわ!お父様には内緒にしてあげますことよ」


アイラ姫が、俺とフィーナを交互に見ながらしっかりと言い聞かせる。


「うるさい。高飛車。お前のせいで……」


「まぁ、なんですの?この小娘は!?王家の私に対してその口の利き方はなんとかなりませんの?ぶち殺しますわよ!」


アイラ姫が腰に掛けたレイピアの柄に手を掛ける。


「やるか」


フィーナの周りに赤いオーラが。


やばい。


こんなところで戦われては困る。


「やめてください!全ては俺が悪いんです!」


二人の間で両手を広げる俺。


えーと、この展開はどんなセリフで止めるんだったけ!?


「俺とフィーナは訓練していたんです」


「ふん。カイト。あなたも往生際が悪くてよ。オスの本能で夜の屋上でフィーナと不純な行為をしようとしていたのでしょう?」


「違うって!」


「じゃ、証明して下さいまし!」


「なにをどうやって!?」


「フィーナでなく、私にそういう行為を教えてくださいませ!」


「はぁ!?」


俺、ここで言うセリフ微妙に間違えたか!?


意外なアイラ姫の反応。


あ、確か、素直に謝ればこの場が収まったんだ!


だけど、言い訳したから、なぜかアイラ姫の嫉妬心に火が着いたのか!


なにしろ、自分を愛してくれない男はいないと思ってるくらいの、自信家だからな。

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