高難易度ゲームは異世界だった！貴族のロリ娘は王都で俺と結婚したいらしい。イマイチ乗り気じゃないんですけど。先回りしてイベントをクリアしたら主人公が怒って攻撃して来た

第34話 三人の美女が俺を取り合う展開は、バトロワの様相を呈してきて……

夜。

酒場にて。

「リムルの奴は、バイム王に謁見し、魔王討伐についての会議に参加した様だぜ」

密偵のギリトがギョロ目をグリグリさせながら報告して来た。

「どんな会議だった？」

「いや、それが……俺のランクだと入れねぇ場所だから聞けなかった」

今度は目を伏せて気まずそうだった。

そこ、肝心なとこ！

役立たず。

思わずそう言いそうになる。

だが、グッと堪えた。

彼には親交度を上げ密偵としての仕事を前向きに行って欲しいからだ。

「お疲れ」

そう言って、俺はビールをおごってやった。

「それにしても、リムルの奴ゲーム通りの行動パターンだな」

バイム王への謁見。

リムルルートだとゲーム序盤でのイベントだ。

彼は王都の孤児院で暮らしている。

初期職業は傭兵。

彼は傭兵として金を稼ぎ、孤児院の子供たちとシスターの生活を支えていた。

リムルをプレイヤーとして選ぶと、めちゃ可愛い年上のシスターから心配されながら。旅立つところからスタートする。

リムルは、冒険者ギルドのクエスト『ゴブリンの巣討伐』を一人で請負っていた。

それがプレイヤーとしての最初のミッションだ。

それを達成することで名声を得たリムルは、バイム王に呼ばれることになる。

「何ブツブツ言ってるんですか？カイトさん」

グラスを持ったまま俯いたままの俺を、不思議そうにのぞき込むアオイ。

くりくりした目が可愛らしく俺を見つめている。

「……いや、なんでもねぇ」

俺は我に返った。

いかん、いかん。

どうもリムルのことになると、俺は我を失う。

「ガキのくせして、ビールなんか飲むから気分悪くなったか」

と言いながら、フィーナがウイスキーを一気飲みする。

お前だってガキじゃねーか。

……てか、こいつ酒強いな。

さっきから、途切れなく飲んでるのに顔色一つ変わらない。

「カイトぉ、お姉さまが癒してあげようかぁ～」

妖艶な声で俺を誘うのは、エミリア。

大胆にも俺の肩に手を回して来た。

つややかな紫色の髪が俺の鼻先に当たる。

「もう！エミリアったら、私の旦那様に手を出さないで！」

ピンク髪を逆立てて怒るアオイ。

おいおい、いつ俺がお前の夫になった！？

「まぁ、アオイったら、小娘のくせしてまた私と男を取り合う気？」

眉間に皺をよせるエミリア。

よせよせ。

お前ら、この前もカシュアを取り合って色々揉めてただろ！

今度は俺を巡って殺し合うとか、かんべんな！

「うるさいぞ、年増女！」

「な、なんですって！？」

フィーナがチクリと指摘。

「ピンク頭、お前はサッサとクソして寝ろ」

「な、なんですって！？」

今度はアオイが標的に。

「てか、あんたは何よ！？暗い顔して酒ばっか飲んで！」

「そうですよ！フィーナさん！自分が飲んだ分はきちんと払ってくださいね！」

「ふん」

無視してウオッカをたしなむフィーナ。

「そうやってあとで酔ったふりして、カイトに介抱してもらおうなんて、卑怯な女ね！」

「エミリアの言うとおりです！カイトさんが好きなら正々堂々、私達と戦いなさい！」

「のぞむところ……」

おいおい、お前ら三人で殺し合いとかやめろよ！

その時、俺の背後から聞いたことがある声が。

「君が、カイト君だね」