第33話 俺の一番欲しかったのもは名声、金、経験値そして……

ミナミの声が脳内に響いた。


エミリアがパーティに加わった。


「よろしくたのむわ」


改心した美女を仲間にした。

パーティメンバーは自分も含め6人までしか入れることが出来ない。

メンバー構成が予定と大幅に狂って来たが、俺は満足している。

俺に対するエミリアの親交度は40だ。

ちょっと俺に惚れかけていると言ったところか?


「おい、鼻の下が長い」


「ひゃん!」


フィーナにコツンと脇腹をつつかれる。


「気持ちわりぃ」


小さな声でぼそっと傷付くこと言うな。

フィーナよ。

毒づきながらもお前の親交度だって50から60になっているぞ。

エミリアをメンバーに加えたことで、フィーナの信頼度も上がった。

俺のハーレ……いや、パーティも徐々に結束が高まりつつある。


そして、エミリアを新しく迎えたカイトパーティは闘技場で連戦連勝!


ゴルドも経験値も名声も得ていった。


「優勝はカイトパーティ!」


八連勝したところで闘技場での戦いは終わった。

ゲームでも、八連勝までしか出来ない。

これ以上、闘技場でレベリングできてしまうとゲームバランスが崩壊するから、歯止めをかけるという仕様だったのだろう。

そこは、ゲームが現実になったこの世界でも同じ。

それは知っていた。


俺が得たかったのはゴルドも経験値も名声だ。


そして、この後続く……


「カイトパーティは各王都の闘技場で優秀パーティに選ばれたメンバーと戦う世界一闘技大会への参加資格が得られました!」


司会が声を張り上げる。


「おおおお!」

「すげ!」

「応援してるぜ!」


俺に賭けることで大儲け出来た観客が盛り上がる。


竜暦197年211日よ


日付を問い合わせると、ミナミから回答が得られた。


ミノタウロスの洞窟でちょっと時間が掛かってしまった。

もっと早い段階で王都でレベリングしたかった。

このゲームには寿命があり、この世界での寿命は五十歳が平均だ。

悠長なことをやってられない。

それにあと三日早かったら、闘技場にあの伝説の賢者バロネスが登場し仲間に出来たが、別の街に去ってしまっている。


色々予定が狂ってはいるが……


何とか思い描いたルートで進むことが出来ている。


だが、一番欲しかったのは……


世界一闘技大会への参加資格が一番欲しかった。


ここにあの憎き勇者リムルも参加しているのだから。

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