第32話 俺、色々今後のことを考えてパーティ編成を考えるが、結局美女に負ける。

ミナミの声が脳内に響いた。


エミリアを仲間にする?


え?

仲間に出来るの?

そんなイベント初めてだ。

ゲームプレイでも攻略動画でも見たことが無い。


ま、そりゃそうだわな。

俺程の『ゼノングランドクロッセオ・背徳の少女たち』フリークでも、全てのイベントを把握するのは無理な話。

だって、登場人物が数万人いてその全てを選択してプレイ出来るのだ。

そして、その人数に応じたストーリーとイベントが展開される。


俺が知っているのはほんの一部だってこと。

つまり、村人カイトと憎き勇者リムルとの関連イベントが中心で、そのほかのキャラクターのことは余り良く知らない。


俺にはリムルが今どうしてるのかってのが必要で、あいつの行動の先回りして、手柄を横取りして復讐してやるってのが目的だ。


ま、話が長くなったが、つまり俺はエミリアを仲間に出来ることをこの世界で初めて知ったわけで……

じゃ、どうしようかって悩み中。

確かゲームじゃ、俺はパーティに勇者、戦士、魔導士、ドラゴンライダー、治癒魔法使いを選んだ。

もちろんバランスを考えて。

ちなみに、村人であるカイトは、レベル30を越えたら、様々な職業にクラスチェンジできる。


俺がカイトを選んだ理由の一つに彼の初期職業が村人だったって言うのもある。


村人って実は使いこなせばチートが出来るんだ。


ま、その辺の話はあとでするとして、今は目の前のエミリアを仲間にするか?


彼女は闇術師。


ちょっと彼女を入れるのはバランスが悪い。

パーティメンバーが全部魔法使い系になるからだ。

魔導士のフィーナ、付与術師のアオイ。

そして俺。

そこに闇術師のエミリア。


う~ん、壁役が欲しい。

直接打撃系が欲しいのだ。

魔法系は物理攻撃に弱い。

だから、今のところ俺一人が壁役を務めているが、それってちょっときつくなる。

今はいいが今後は、物理攻撃が強力なモンスターと戦うことが多いはず。

ここで欲しいのは、やはり強力な壁役。


ん?


そういえばなんで、カシュアは仲間にならないの?


「私は、もう戦いはごめんだ。ここで去らせてもらう」


え?


カシュア退場?


彼は長髪をなびかせ去って行った。

もちろん、エミリアとアオイが呼び止めたがそのまま、後ろを向くことは無かった。


うむむ。

そういうイベントなのか。

ま、カシュアは防御力が低いから俺としては別に入って来なくてもいいと思ってたけど。

それに、いたらいたで、アオイとエミリアが敵対しそうだから、去ってくれてよかったわ。


で、エミリアをどうするか?


やっぱ、よく見ると、綺麗な顔してる。

切れ長の目と良く通った鼻筋。

シュッとした唇。

ローブから見えるデコルテからの白い胸の谷間。

切れあがったスカートの裾から見える白いハリのある太もも。


ゲームだとステータスで仲間にするか判断するが、今ここは現実。


つややかさと美しさを兼ね備えた美女を誰が放っておこうか……


それがたとえ、パーティメンバーのバランスに欠けようとも。


「エミリア、一緒に戦おう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る