第30話 女の友情!いじめられた過去を持つ女と追放された女!

「まぁ!何この失礼な男は!クソ女ですって!?許さないわ!」


エミリアの怒号と共に試合開始。


「「はっ!」」


残像を残すほどの素早い動きを。

剣士カシュアが、日本刀を振り回す。


「まだまだ!」


俺はフィーナとアオイを後衛に配置し、守りながらカシュアと一合、二合と切り合う。


エミリアが詠唱中だ。

闇魔法は強力な分唱えるのに時間が掛かる。


その間に、フィーナの詠唱が終わる。


「エクスファイア!」


俺の横をかすめていく業火の玉。


「ふっ」


それを涼しい笑顔で避けるカシュア。

奴の素早さはずば抜けている。

その値は1000。

剣士や忍者といった和風の職業は、素早さが高い傾向にある。


「あ、しまった!」


いつの間にか俺の背後に回り、そのままフィーナに切り掛かるカシュア。


「防御力強化中!」


すかさずアオイがフィーナにバフをかける。


「いたい!」


フィーナ、カシュアに切りつけられるも、アオイのバフによりダメージは小。。


「すまない」


「いえ、一緒に戦ってくれて、ありがとうです」


フィーナとアオイの間に友情が生まれ始めている。

いいことだ。


フィーナを切りつけた後、一瞬動作に空白が出来るカシュア。

次の挙動までに時間が掛かるのか。

剣士は体力は少ないのだ。

体力が少ない職業は、持久力が低い傾向があり、連続動作の後、間を必要とすることがある。

これも、ゲームの知識だけど。


「どりゃ!」


「ぐ!」


俺は間抜けになったカシュアを背後から袈裟切りにする。

奴の体力ゲージは一気に半分に。


「カシュア……」


ん?


アオイ、カシュアのことを気遣っている?

元パーティメンバーだから情があるのか?


「死になさい!ナイトメア!」


を終えたエミリアが手の平から黒い波動を飛ばす。

闘技場全体が黒い雲に覆われ、その中から巨大な赤い目玉が現れた。


「その目を見ちゃだめだ!」


俺が叫ぶのもむなしく、フィーナがその目と、自分の目が合う。


「ぐ!」


フィーナの体力が一気に1に。

闇魔法ナイトメアは、1/20の確率で相手の体力を1にする。

俺とアオイは大丈夫だったが、フィーナは瀕死だ。


「やばい!」


もちろん、フィーナに切り掛かるカシュア。

一撃でも喰らえば……死。


「逃げろ!」


「逃げない!」


フィーナが立ち向かった。

もしや、アレを狙っている?


「フィーナさん、逃げて!」


「アオイ、私もお前みたいにバカにされて育って来た。だから、こいつらが許せない」


フィーナは獣人の子供だ。

だから、人間にいじめられてきた過去がある。

アオイとシンパシーを感じ始めたのか。

そして、フィーナの最近新しく身に付けたスキル……あれが発動すれば……


「ふん!」


カシュアが日本刀をフィーナに降り下ろす。


「マックスエクスファイア!」


それよりも早くフィーナの魔法が炸裂する。


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