第17話 俺はパーティメンバーの意思を尊重する!

フィーナとパーティを組んだ俺は、地下二階で経験値稼ぎに勤しんだ。


「十字切り!」

「エクスファイア!」


炎の十字架が俺とフィーナの間から飛び出す。

標的はその先にいるゴブリンブロス。

全身3メートルのコブだらけのゴブリンだ。


「ゴアアアア!」


火柱を上げ灰になる。


フィーナと俺は息ピッタリで、今日二回目のデュエット攻撃を発動することが出来た。


カイトはレベルアップした。

レベル16になった。


名前:カイト

年齢:16歳

レベル:16

体力:412

精神力:248

攻撃力:655

防御力:231

幸運:69

素早さ:175

職業:村人

装備:金の剣、鉄の鎧

スキル:十字切り

次のレベルまでに必要な経験値:4000


「よし!」


いつもの南の声、そして……


フィーナとの親交度が18になった。


親交度とは、パーティのメンバーとプレイヤーの中の良さを表している。

ゲームと同じだ。

俺とフィーナは一緒に先頭を繰り返すことで、お互いを助け合い仲が良くなってた訳だ。

この数値が上がるとデュエット攻撃が発動しやすくなる。

デュエット攻撃とは、パーティメンバーとプレイヤーのペアで攻撃が発動される必殺技だ。

通常攻撃よりもダメージを大きく与えることが出来る。

上手く行けば一撃で仕留めることも可能だ。


「フィーナ、ありがとう」


「私はただ、自分の魔法を試したいがために戦っているだけだ」


視線を逸らしながら、面倒くさそうに言うフィーナ。

彼女は、ツンデレ系だ。

ゲームでもそんな感じだった。

親交度が上がれば、どんどんデレの部分が多くなるので楽しみだ。


「さて、そろそろ、ここを出ようか。フィーナ」


「……」


「王都に行かないか?そこで食事でもとって休憩したいんだ」


「……」


押し黙るフィーナ。


「なら、一人で行けばいい」


「え?」


視線を逸らしたまま、吐き捨てる様に言うフィーナ。

そのまま、スタスタと歩いて行く。


「ちょ、ちょっと待てよ!」


俺は慌てて後を追う。

そうだった。

フィーナはこの洞窟に目的をもって入って来ていたんだった。

彼女は、最下層にいるミノタウロスを倒すことが目的だった。

幼い頃、ミノタウロスに両親を殺された恨みから、復讐のためにこの洞窟に入ったのだ。

その時、傭兵としてボルタを雇ったのだ。

フィーナをプレイヤーとして選ぶと、その辺りのストーリーが詳細に語られる。

俺は現世で、様々なプレイヤーの動画を観て来たので、フィーナのバックグランドは訊かなくても分かっていた。

ただ、俺の記憶容量には限界があるので、忘れていただけだ。


フィーナとパーティを解消する?


ミナミが問い掛ける。


ここで「はい」と応えると、そこでフィーナとはお別れだ。


まさか、フィーナを選ぶとこういう展開が待っていたとは……


「いや、このままだ」


俺はフィーナと一緒に行くことにした。

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