第6話 俺死亡までの顛末!

ザクッ!


「お兄ちゃーん!」


い、いてぇ!?

俺は腹から噴き出る血を手で押さえる。


俺の目の前には手を赤く染めた金髪碧眼の男が立っている。

見たことも無い奴だ。


「うわあああん!」


美憂の声が遠くなる。

俺は美憂をかばって、あの金髪野郎に刺されたんだ。


状況が呑み込めて来ると、激痛が走った。


「刃物は抜くな!出血が止まらなくなるぞ!」


近くで知らないおじさんが叫んでる。

早く救急車を呼んでくれ!

俺と金髪野郎の周りに人だかりが出来た。

誰も俺を助けようとせず、見ているだけだ。


「くっ……」


助けたくても、無理だわな。

こんな何するか分かんない奴……

人を刺して笑ってやがる。


「復讐だ」


え?


こいつ何言ってんだ。


そいつは赤いダウンジャケットの内ポケットから、今度は牛刀を取り出した。


「うわあああああ!」


見る見る人だかりの輪が大きくなった。

皆、自分だけが助かりたいみたいだ。

美憂も一緒に逃げたみたいだ。


良かった。

美憂、彼氏と幸せになれよ。


俺は早くこの激痛から解放されたかった。

だが、生きたい気持ちもほんのうてきにあっ……


ドスっ!

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