第6話 どっちがベスト?

「ね、ユウト。どっちが似合うかな?」

「知らん」


「真面目に見てよ。清楚な白もいいけど、オトナな黒も捨てがたくって」

「白服は、食事に気を遣うんじゃないの?」


 お前、食べるの下手じゃん。


「でも肌が明るく見えるし、デザインも可愛いし」

「じゃ白にすれば?」


 大体、迷う必要あんの?

 デートってわけでもないのに。


「けど、白だと目立ちそう。黒のほうが、周りに紛れるって言うか……」

「見つけて欲しいんだろ?」

「そんな! 恥ずかしいよ!! 見られたりしたら、私死んじゃう」

「おま……、じゃなんで服に迷ってんの?」


 女子の行動心理がわからん。


 学食の券売機に並んだ時、好みのイケメンが前に居たんだそうな。

 行列待つ間、眺めれてシアワセだったらしい。

 以来、昼食時に食堂でその彼を探すのが、いま上の妹のブーム。


 明日はカジュアルデー。私服で登校出来る日だから、こいつは着てく服にずっと迷っている。


 だが「明日は奮発してカツカレーにしよー」とかウキウキと言ってるから、本命はカレーの方かも知れん。


 イケメンくんは副菜か。

 

(騒ぎたいお年頃ってやつだな)


 どうでもいいけど、呼び捨てせずに、お兄ちゃんって呼べよ。

 そしてカレーに白服は天敵だぞ。



       ― おわり ―

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