第17話 ゼス聖教の女法皇【3】

 私はゲス司教、今までの私が恥ずかしい!!

 神々しいゼス神様の神罰をいさめるとんでもないお方、まこと現人神あらひとがみらせられるロゼット様を私欲の為に利用しようとしたなど、万死にあたいする。

 私は心から悔いて、ロゼット様に厚かましくもお願いした。

「ロゼット様!私は悔い改め司教の位を捨て、貴女様のしもべにして頂きたく、お願い致します!」


 ロゼット様は私を見据え、思考されていた。

 長く思考された後、信じられないお言葉を頂いた!

「民の暮らしを知り、万民の為に生きる聖人になる為にも、司教職は退いた方が良い、ゲスと言う名は良くない・・・私が改名してあげる、以後『マルセル』と名乗ると良い」

「・・・マルセル改名有り難う御座います!!一生涯ロゼット様に従いつくします!!」



 ◈◈◈



 俺に平伏す二人を見た。

 ゲス司教の変貌は目を見張る物が有った。

「ロゼット様!私は悔い改め司教の位を捨て、貴女様のしもべにして頂きたく、お願い致します!」

 とか、憑き物でも落ちたのかと思われ、清々しさを感じ、脂ぎってた丸顔さえ愛嬌を感じてしまった。


「民の暮らしを知り、万民の為に生きる聖人になる為にも、司教職は退いた方が良い、ゲスと言う名は良くない・・・私が改名してあげる、以後『マルセル』と名乗ると良い」

 丸顔でマルセル冗談の様な命名を思わずしてしまったが、涙を流し喜ぶゲスじゃ無かった、マルセルを従者にするのは、今の雰囲気の彼なら問題無いだろう。


現人神あらひとがみロゼット様、ゼス聖教大神殿に向かいましょう!我ら神殿騎士団一同ロゼット様に従います!!何卒なにとぞ聖教都壊滅神罰を阻止して下さい!!」


 ん?何の事?荒人神って?神罰落とすって言ったのはゼス神だぞ!俺はそんな荒々しくは無いだろう?

現人神あらひとがみ』なんて表現、美彩緒時代にも聞いた事が無かったロゼットは、荒人神と勘違いして、この呼ばれ方少し嫌と思った。





 ほんの1時間足らずでゼス聖教都に着いた。

 門をフリーパスで通過、大神殿まで20分で到着した。


 馬車から降りて、神殿騎士団が露払い、俺の後ろをマルセルが従う。

 通された大聖堂は無理矢理、荘厳さを引き出そうとしてキンキラ品が飾られていた。

 大聖堂内は一般信者で溢れていた。


 俺の登場に合わせる様に、チビデブ肥満じいさんが現れ、一段高い説教台に立った。

 説教台の前には、大神殿の司祭以上の聖職者20人がズラリ勢揃いしてる。

「信者の前でロゼット聖女の認定を行う!!」

 こんな脂身に認定されるの迷惑だぞ!

 俺は、説教台の後ろにある巨大な神像に向かって叫んだ。

「おい!友達なら出てこい!!ゼスが殴ると言ってた法皇が居るぞ!!」


 辺りにわざとらしく神々しい光を充満させ、ゼス神が現れた。

『ロゼットさん、呼んでくれて有り難う!そう!こいつが私の神託を騙る不埒者!ゼス聖教都を神罰で消滅するのはロゼットさんに止められた!これで我慢する!!』

 と、神々しさの欠片も無いゼスは、力に任せ法皇を張り飛ばした。


 チャラそうな兄ちゃんに見えるゼス神だが、神力を込めた一撃は流石に法皇を即死させる勢いが有った。

『他にも腹立たしい者が居るが、ロゼットさんを女法皇と崇めるなら、これくらいで許してやる!悔い改めよ!後はロゼットさん任せる』

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