第16話 ゼス聖教の女法皇【2】

 私は神に引き寄せられる様に、ふらふらと祈りの間に入っていた。

 隣には夢遊病者の様なゲス司教もいた。


『ゼロスにゲス!ロゼットさんを見守って居ると、お前達の数々の無礼!ロゼットさんに謝り悔い改めよ!』


 私とゲス司教は思わず神に平伏ひれふした。

 私達を気にもせず、ロゼット様はゼス神様に文句を続けている。


「ゼス神!あなたの教典正気なの?『ゼス神が土塊つちくれから人の男を造り、その男の肋骨あばらぼねから女を造った』って何処の神のパッチ物?ふざけた教典」

『いえ!私はそんな教典知りません、想像するに其処そこな宗教家どもが勝手に創作したもの、私はいっさい関係有りません!ロゼットさんに嘘はつきません!』


「ゼス聖教って、あなたを崇めて作った教会でしょ?」

『それが・・・いつも腹立たしく思って居ました、私はいっさい神託など降ろして居ませんが、あの法皇とか言う奴、嘘つき神託かたり・・・腹が立つ!神罰落として更地にしてやろうか!』

「ゼスさん、法皇にピンポイント神罰落とせる?」

『神力最小にしても、町一つ消してしまうかも』


「ダメじゃん、大神殿でもう一度呼ぶから法皇殴るとかで我慢して・・・ってそんな事より男の身体はどうなるの?」

『それが・・・どうにも成りません、ご免なさい!!それよりロゼットさんが女法皇になってゼス聖教を正しく導いて!僕も頻繁にロゼットさんと話がしたいよ!』


「そんな面倒な事引き受けて、俺に何か得が有るか?」

『僕のゼス神の全面的協力が得られたら、世界制服だって出来るよ世界の王だよ!』

「ゼス?あんた魔神?神とは思えんゲスな誘い、そんな面倒な事するか!やっぱあんたの誘いに乗ったの間違いだった」

『ご免!そうだ!メタモルフォーゼ授ける!だから僕を見捨てないで!!友達でしょ!』

「いつ友達になった?」

『・・・あれ?』

「不思議そうな顔して誤魔化すな!」

『僕を呼び出せるって友達だからだよ』

「メタモルフォーゼで許してやる、友達にもなってやる!納得したか?」

『ありがとう安心したよ』


 ゼス神は辺りを輝かせ消えて行った。



 入口で平伏す二人に今更気付いた。

「もう神さん帰ったよ、いつまで平伏ひれふす気?」

「「我ら神に平伏ひれふしてで無く、貴女様に平伏して居ります!」」

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