第14話 神殿からのチョッカイ

 ヘイボの問題が解決して、息つく暇無く神殿騎士を引き連れた神官がやって来た。


「ゼス聖教、法皇様からの指示を言い渡す!神殿を修復し司教を受け入れよ!」

「私が忙しい最中さなか、前領主と共に領民や信者を見捨て逃げ出した者の為に、自腹を切ってまでお前達につくすいわれは無い!住み着きたくば許可はしてやる!勝手に住め!」


「無礼者!法皇様に逆らうか!!」

「私は別にゼス聖の信者では無い!それより、お前こそ無礼であろう!使者なら姓名と役職を述べて口上する物だ!私はサンセット王国、王宮御殿医ロゼット・フォン・ロデス伯爵、伯爵家当主であるぞ」

「王国は関係が無い!『ゼス聖教』は独立した団体だ!王国の貴族風情平伏して指示に従え!!」


「私が王国伯爵と知っての暴言、全て記録した!面倒だが法皇に会いに行き苦情を言ってやる!名乗らぬ無礼者の貴様の顔は覚えた!

 神殿騎士の諸君!神殿騎士とは神の名のもと崇高な理念で行動する者達と思って居たが違うのか?」


 襲って来そうな騎士達に牽制してみた。

「違いません!我ら神殿騎士団は法皇様の為で無く、ゼス神様の教えに基づき働いて居ります!」

「ならば問う!この使者どのの言動は正しいか?」


「その者の名はユダで役職は助祭、正式な神官では御座いません、功を焦った独断行為で法皇様の真意を伝えて居りません!

 ロゼット様は、伝説の聖人ルテルと同じく、独自に聖魔法を修得されたとの事、功績を称え領内に神官を置き、聖人認定するため大神殿にお迎えすると指示を受けて居ります」


 神殿騎士を率いる隊長、俺を若年と侮って居たか、それとも助祭を試して居たか分からんが、態度が変わった。


「そうか・・・神殿が敵対するならゼスだったか神さんに苦情言ってやろうと思ったが、聖人認定を受けるのはやぶさかではない」


「我ら神殿騎士は、法皇様より『ロゼットどのが、都合のよい時大神殿にお連れせよ』と指示を受けて居ります」



 何か話が変わって来たぞ?


「領内の発展を手掛ける前で、暫し猶予がある今なら出向く事は可能だ」

「ではお連れ致します!大神殿まで15日の馬車旅になります。

 ユダ助祭!騎士を3人監視に置く!神殿整備しっかりこなして置け!働きしだいでは聖女ロゼット様に対する無礼の減刑は法皇様に伝える」


 助祭の態度、こいつが特別酷い訳では無さそう、法皇とやらに会って愁いを無くすのも良いか。

 と、旅立ったが俺が甘かった、予想外にゼス聖教は酷かったと思い知る事になる。

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