第12話 波乱始めボンジ・ド・ヘイボ

 傷や骨折の回復聖魔法は、生活魔法の手当てに聖魔力を込めるだけなので、弟子達5人は直ぐに出来るようになった。

 聖波動攻撃も、生活魔法の灯りや照明に聖魔力を込めるだけなので全員が出来た。

 ただし病気の回復は、病気のもとウイルスやホルモンバランスなど、医学を理解させるのが困難で手当てと同じ発動なのだが、誰一人習得した者が居ない。


 僅か5日の指導で、立派に聖活魔法使いになったイズルにカリナ、ロップの3人は魔法ギルドに帰って行った。


 シクロは剣技の大切さに気付き、急遽父親の騎士団長に剣技を教わる事になり、俺のロデス伯爵領都に残る事になった。

 シクロは三男なので、しっかり修行させて使い物になるようなら俺の家臣にするのも良い。


 面倒臭い男で無い聖魔法Aランクのセーラは内弟子に残し、今後特別指導して俺に近い聖活魔法使いに育てるつもりだ。



 セーラに医学の基礎を教えて居ると、執事のゼバスが困った顔をして控え目に報告してきた。

「御主人様にボンジ・ド・ヘイボ様が面会希望と応接室でお待ちして居ります、いかがされますか?」

「ボンジ・ド・ヘイボ?そんな奴知らんぞ」

「逃げ出して降格された、ヘイボ子爵様の嫡男様で御座います」


「ヘイボ子爵の?領地を持って居ない貴族の子供が、なぜ【ド】を名乗る?貴族名詐称は結構な罪になるぞ!そいつに会ってみるが騎士団を読んで来い」





 応接室に入ると、座ったままの生意気そうなガキがいた。

「王宮御殿医ロデス伯爵だ、ご用の向きと正式に名乗られよ!」

 まだ座ったままのガキが。

「前領主クズダ・ド・ヘイボ子爵の嫡男ボンジ・ド・ヘイボだ!幼女の統治の手助けをするよう父から命じられて来た」

「ほう?領民を見捨て逃げ出し、降格されたヘイボ子爵に教わる事が何かあるか?」

「貴様!!国王様に上手く取り入っただけのガキが!父を侮辱するか!!」


「侮辱は貴様の方だ!!伯爵家当主に対し格下が座ったままの受け答えの無礼も許せんが、領地無し子爵の子供の分際で【ド】の称号を名乗るとは!貴族名詐称は国王に対する反乱と受け取った!!捕縛し裁きを受けさせる!!」


 タイミングを計った様に、ベンゼン騎士団長が飛び込んで来て、ガキを取り押さえた。

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