第2話 生活魔法授与の儀

「リミ姉!早く!」

 俺は結局前世と同じで、女の身体のまま5歳になった。

 今日は年一度魔法ギルドで、適正魔法検索の儀式が行われる日だ。

 姉のリミは夏に6歳になるが、今は俺と同じ5歳で、一緒に適正魔法検索の儀を受けに向かっている。

 こんなに楽しみにしている訳は、メタモルフォーゼって魔法がある事を知って、メタモルフォーゼって魔法が使えれば男に変身出来る希望があるからだ。


 今日は貴族の子弟が儀式を受ける日では有るが、伯爵以上の高位貴族は自宅で儀式を行うとか、俺ん家は男爵家上には子爵しか居ない。

「ヘイボ子爵家3男アリキタ様!」

 呼ばれた小ブタ、はな垂れ小僧は火魔法Fランク風魔法Gランクの結果だった。

⦅今年は不作で御座いますな⦆

 魔法ギルドの職員のボソボソ話声が聞こえた。

「ロデス男爵家長女リミ様!」

 リミ姉が呼ばれ、結果に辺りがどよめいた。

 魔法ランクがAと言う事は知られていたようだが、火魔法Aランク、水魔法Cランク、風魔法Cランク、土魔法Bランクと信じられない高ランク結果だった。


「ロデス男爵家次女ロゼット様!」

 ついに俺の番が来た、姉妹として俺にも期待の眼差しが集中してる。

「魔法ランクS?聖魔法S?他に適正無し?」

 魔法ギルドの職員は、期待からガッカリの雰囲気に包まれた。

⦅ランクがSでは生活魔法も使えるか?無理かも知れん…姉が凄いだけにこの娘は可哀想だ……⦆

 ボソボソ話声が聞こえて来る。

 リミ姉が慰めるように俺の肩を抱いてくれた。

「リミ姉、俺のSランクはスペシャルのSでAランクの上だぞ!低いランクじゃねぇぞ!」

 リミ姉は俺が負け惜しみ言ってると思って、悲しそうにしてる。


 准男爵家や騎士爵家の子弟が呼ばれて、適正魔法検索の儀式が続いているが、俺達は帰る事にした。

 適正の検索であって、この儀式で確実に授かったのは生活魔法だけだ。

 後は各自魔法の基礎から修業しないと、魔法は使えないリミ姉は特待生の手続きがあるとかで、明日親同伴で来るよう言われてる。

 詳しい説明を受けるため、ギルドマスター室に呼ばれた。

 俺は期待されて居ないようだが、珍しい聖魔法の適正があるのでついでの様に一緒に呼ばれた。


 俺もリミ姉の付録的に特待生扱いになったようだ。

 聖魔法の一覧表をパッと見て、メタモルフォーゼ魔法を見付けた俺は天にも登る気持ちになった。

 特待生魔法ギルドカードを受け取り、俺達は意気揚々と家に帰った。



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