第3話 そりゃ親は喜ぶよな!

「二人とも魔法ギルド特待生だと!!祝いだ!」

親父おやじ特待生と言っても、俺はリミ姉の付録だぞ」

「ロゼット…私でしょ!女の子らしくしなさい!」

 いつものお袋の小言が来た。

 とか言いながら、親父もお袋も嬉しそうにしてる。

 そりゃそうだ、魔法ギルドに我が子が二人とも特待生と認められりゃ将来が保証されたと言う事だ、喜ぶのは当たり前だ。

「ロゼットの聖魔法、使えるようになれば魔法ギルドが教会に対しても優位になれる!」

 そうだろうな、教会の回復治療は高価な代償が必要だ、俺が教会関係者でさえ使える者がほとんど居ない、聖魔法の使い手になれば魔法ギルドの立場が一気に向上する、お情け付録でも俺を特待生にした魔法ギルドの思惑は分かる。


 リミ姉は親父の剣術稽古、いい加減にしかしないが俺は親父の厳しい指導に食らい付いて剣術の腕はメキメキ上達してる。

 女の身体になってしまったが、ふやけた男に負けてなるもんか!


 剣術の腕だけで騎士にのし上がった親父、魔法より剣を重きに置いてる武骨者とすれば、俺の剣術に対しての意気込みは好ましいようだ。

 俺が王子の片割れで押し付けられた厄介者のはずだが、実の子の様に育ててくれる親父にお袋には感謝してる。

 当然俺が生い立ちを知ってるなんて思いもしない両親、知らない振りをこれからも貫いて行く。



 男爵家の馬車で魔法ギルドに到着した。

 親父にお袋が、晴れがましくしている後ろを俺とリミ姉が付いて行く。

 魔法ギルド、ギルドマスター室に通されカリキュラムの説明を受けている。

 特待生の俺達の講師は、ギルドマスター直々に指導してくれるらしい。

 授業料は無料、卒業後は魔法ギルド所属との拘束は有るが、当然の事だ手塩に掛けて教育して有望な人材が教会やダンジョン探索ギルドに取られては、魔法ギルドの面子に関わる。



 次の日から指導が始まった。


 俺とリミ姉は耐火レンガで覆われた、ギルド魔法実戦場でギルドマスターの指導を受けてる。


「いいですか、魔法はイメージが大切です。魔力をぐわっと練ってブワッと放出すれば思い通りの魔法として現れます」

(こりゃダメだ!ギルドマスターのギュンタさん魔法の天才かも知れんが、指導者とすれば失格だ)

⦅リミ姉、分かるか?⦆

⦅全然理解出来ないよ⦆

 だろうな、この説明で魔法が使えれば、誰だって魔法使いになれる。

「ギルドマスター、質問!魔力を練るとはどうすれば良い?」

「ん?ヘソの下辺りに魔力が有る、それを身体中に回す。それが練ると言う事だ」

 これは俺が説明してやらんと、リミ姉が潰れる。


「リミ姉、生活魔法の着火をやってみて」

「着火!」

 俺も出来るようになった生活魔法、簡単にリミ姉は火を灯した。

「魔法で火を灯す、何度もやれば魔力の流れが分かって来るぞ」

 俺はギルドマスターギュンタを無視して、リミ姉に指導を始めた。


「リミ姉、魔力の流れが分かった?」

「うん、なんと無く分かったような?」

 俺は生活魔法着火を、目一杯魔力を込めて放出してみた。

 Sランクの魔力の着火は、火炎放射の如く的を焼いた。

「リミ姉は、火魔法がAランク、こんな感じであの的に向けて火をぶつけてみろ!」

 俺の実演にリミ姉も同じ様に、火炎放射を吹き出した。


「「「おぅ!凄い!!」」」

 見学してた職員達が喚声を上げた。

「リミさんの火魔法は予想通りだが、ロゼットさんは火魔法の適正は無かったはず?」

「スペシャルSランクの生活魔法だぞ」


 こんな感じで水魔法に風魔法、土魔法も生活魔法の応用でSランクの威力増し増しで俺が実演、リミ姉も魔力Aランクで威力増し増し魔法をぶっぱなした。

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