第15話 俺が言いたかった言葉 By 三和悠矢

鈴は、何故か、悔しそうにしていた。

「どうでもよかった?なら、悠矢を、あの眩しかった悠矢を、楽しそうにバスケットボールをしている悠矢を応援していた私は、馬鹿だった!」

鈴は、あの頃の俺を見てくれていた。

その後も応援してくれていた。

そりゃあ、どうでもいいって言われたら、怒るよな・・・・。

「・・・・俺が、バスケットボール、してたの、お前の為だよ」

「人の為に、今までバスケットボールしてたって言うの・・・・え?」

「お前に、見つけてもらう為に、自分が出来そうなスポーツだった、バスケットボールをしてた」

俺は、さっき、言うことにした。

今まで言ってこなかったことを。

あの頃に伝える勇気のなかった俺の想いを今。


「な、なんで?私、バスケットボールなんてしてなかったし、見つける確証なんてないでしょ?」

確かにな・・・・

なんで、見てくれると思ったんだろ?

今思うと不思議なことばかりだ。

想いを伝えられなかったまではわかるが、その他が本当にわからない。

けど・・・・

「・・・・鈴は見てくれないかもしれない。それでも、鈴に忘れられない方法が、それしか、思いつかなかった」

『バスケットボール選手になる!』

忘れられたくなかった。

見ていてほしかった。

俺が、鈴を覚えていて、好きでいる間だけでも。


「馬鹿・・・・」

「鈴?」

「そんなことしなくても、私は忘れなかったのに」

「・・・・え?」

「私はあの頃からずっと、悠矢が好きだよ」

それは、俺が欲しかった言葉で、俺が言いたかった言葉で。

けど、そんなことはどうでもいいくらいに、嬉しかった。

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