第14話 私に見つけてもらう為
「な、なんで、そんな事、言う、の?」
私が最初に言えた言葉は、それだった。
「バスケットボールを、そんな風に言わないで!」
言葉は、気をつけないといけないのに。
考えて話さないといけないのに。
「どうでもよかった?なら、悠矢を、あの眩しかった悠矢を、楽しそうにバスケットボールをしている悠矢を応援していた私は、馬鹿だった!」
そう思っていても、感情が収まらない。
私は、何を言っているんだろう。
バスケットボールが好きなわけじゃないのに。
ルールも知らないのに。
悠矢しか見てないのに。
全部、私が悪いのに。
「・・・・俺が、バスケットボール、してたの、お前の為だよ」
「人の為に、今までバスケットボールしてたって言うの・・・・え?」
今、誰の為って、言った?
「お前に、見つけてもらう為に、自分が出来そうなスポーツだった、バスケットボールをしてた」
私に、見つけてもらう為・・・・?
「な、なんで?私、バスケットボールなんてしてなかったし、見つける確証なんてないでしょ?」
そう、だよ。
私は、悠矢がバスケットボール選手になるって言うから見てただけ、なのに・・・・。
「・・・・鈴は見てくれないかもしれない。それでも、鈴に忘れられない方法が、それしか、思いつかなかった」
『バスケットボール選手になる!』
そんな事を言われてしまったら、見ないわけにいかないのに。
それに、そもそも忘れるわけがないのに。
忘れられる訳がないのに。
「馬鹿・・・・」
私も、悠矢も、馬鹿だな、本当に・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます