第12話 見たくなかった、悠矢の姿

「けど、結果的に、悠矢の夢は叶わなくなっちゃった・・・・」

「俺に、バスケットボール選手になりたいなんて夢、もともと無いんだよ!」

悠矢の夢を壊してしまった後悔で押しつぶされそうになりながら謝っていた私は、始めて悠矢の感情を爆発させている姿を見た。

「え・・・・」

「元々、俺にそんな夢は無かったんだ!だから、鈴のせいじゃない!お前は何も悪く無い!」

悠矢が、バスケットボール選手になるって、夢を、持っていなかった・・・・?

「そんなことない!悠矢、自分にそう言い聞かせて、夢を自分で諦めたことにしようとしてる?」

「俺はそんなことしてない!」

「そうだね・・・・全部、私のせい、だもんね」

なんで、私は悠矢に怒ってるんだろう?

なんで、怒れてるんだろう?

悠矢は、私のせいって言わないで、自分のせいにして、今回の事と向き合おうとしてるのに。

私に、怒る権利なんて無いのに。

全部、全部、私のせいなのに。

「違うって言ってんだろ!お前、人の話聞けよ!」

始めて、悠矢に怒鳴られた。

「俺には、バスケットボールなんてどうでもいいんだよ!あの頃から、ずっとずっと、バスケットボールなんてどうでも良かったんだよ!」

なんで、だろう・・・・

その姿は、私が一番見たくなかった、悠矢の姿のような気がした。

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