第11話 ずっと言ってこなかったこと By 三和悠矢
俺は試合をサボった。
そのことが大きな問題になっていても、小さな事を気にしていた俺ではないかのように、何も気にはならなかった。
俺の携帯に数え切れないくらい連絡が来ていても、面倒だな〜としかおもわなかった。親とチームメイトからの連絡が多すぎて、迷惑でしかなかった。
次の日、思ったより昨日の事が堪えたらしく、朝早くから目が覚めた。一歩も動きたくなくて、横に転がっていると、ベッドから落ちた。
流石に痛くて、動いた。
動いてしまったから、仕方がなく、最寄り駅まで歩いた。けど、学校に行く気にはならなかった。
「悠矢!」
帰ろうとした俺に、そんな声がかけられた。
俺が知っている声だった。
聞き間違えることのない、声だった。
「す、ず・・・・」
「ごめんなさい!」
振り向くと、そこには鈴がいた。
謝る鈴は、泣いていた。
「ほんとにごめんなさい!私、悠矢の夢を、壊しちゃったっ!」
鈴が、何を言っているのか、わからなかった。
けど、一つ分かったことは、俺は、鈴を泣かせることしか出来ないのだということだった。
「私のせい、だよね?この間の試合に出なかったの。私が、あんな、よくわからないこと言ったからだよね?」
泣きながら、鈴は、自分のせいで俺が試合に出れなかったのだと言っていることに、少し遅れて気がついた。
「ちがう」
「けど、結果的に、悠矢の夢は叶わなくなっちゃった・・・・」
「俺に、バスケットボール選手になりたいなんて夢、もともと無いんだよ!」
俺は、ずっと言ってこなかった事を言った。
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