第9話 後悔と親友の助け

「もう二度と、離さない」

「・・・・ごめん、悠矢」

ずっと、この会話が頭から離れない。


私、もしかしたら、悠矢の告白を断ってしまったんじゃないかって。

私は、大学の時間がギリギリで、流石にマズイと思っただけだったんだけど・・・・

「タイミングだよねぇ」

「あー、わかってるから言わないでよ!」

「昨日からずっと変なんだよ、鈴さ。まだ昨日話してたやつ引きづってるんでしょ!」

「そうだよ!そう簡単に何も進展ないでしょ?」

「ほーう、今朝は会えなかったわけだ」

「そうだよ!」

そう、今朝、私は悠矢に謝ろうと思ったけど、悠矢は駅にいなくて、電車の中にもいなかった。

それで落ち込んでいるのを察した大学からの親友の丸田優衣が話を聞いてくれていた。

「あ〜」

私、絶対、間違えた・・・・


何やってるんだろ、私。

悠矢に、二度と離さないって言われて、嬉しかったのに。このまま、時間が止まってくれたらって思ったのに。


『わ、私、離れたくない・・・・』

やっと、二人の距離が物理的に離れてしまった時に言えなかったことを言えたのに。


「落ち込んでも仕方ないでしょ?連絡先は聞いてないの?」

「・・・・聞いてない」

「じゃあ、誰か、その人の連絡先を知ってる人はいないの?」

「いるんだろうけど、あの頃の友達とはあんまり連絡取ってないから・・・・」

「じゃあ、学校は?」

学校、学校は確か・・・・

「確か、ここらへんのバスケットボールが強い大学!」

「それで、スポーツなんて全くわからない私がわかるとでも?笑」

「ご、ごめん」

「わかったよ、調べてみるから、少し待ってて」

私のスマホは、悠矢との連絡に使うので使えなくて、そのかわりに優衣がスマホで調べてくれた。

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