第3話 人違い

あんな事を言ってしまったことを後悔した次の日、何故か私の乗る通学電車に彼がいるのを目撃した。私

「お、おい!」

私は昨日の事もあって、スルーしようとしたのに、彼に呼び止められてしまった。

「お前、昨日俺を呼び止めたよな?」

「は、はい」

「・・・・名前は?」

私に直接名前を聞いてくる・・・・私のこと、覚えていないんだ。

「っ、ごめんなさい。人違いだったみたいで」

「ひ、人違い、だと?」

「はい。私の知り合いに、あなたに似た人が居たものですから」

これでいい。これでいい。私は自分にそう言い聞かせる。

「嘘、つくなよ」

「・・・・え?」

なんで、バレたの?私のことを全く覚えて無くて、何も知りもしない人が、なんで私が嘘をついているなんて・・・・

「泣いてるんだ、誰でも分かる」

泣いてる、誰が?私が?

あ〜、そうか。

昨日会った時に、自分にも再会という奇跡が起こったと思った。つまり、信じてたんだ。由紀子ちゃん達二人みたいに、私もなれるんじゃないかって。

自分のことなんて覚えていなくてもいいと思っていたのに。

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