「そういえば、鈴さんって、好きな方とかいらっしゃらないんですか？」

私は池谷くんのことを深く考えて不安になりそうだったので、話を変えようと鈴さんに聞いてみました。

「え？」

「私の恋心とか、分かってたみたいなので、そういう方がいらっしゃるのかな〜って」

「・・・・」

少し驚いた顔をしてから、なにも言わなくなってしまった鈴さんを見て、私は勘違いだったのかもしれないと思い出した。

「す、すみません、勝手に・・・・」

「いるよ」

「え？」

「私は、好きな人がいた。けど、最後の最後まで告白出来なくてね。今でも後悔してる。だからかな？由紀子ちゃんが過去の私みたいで見ていられなかったの」

・・・・そうか。だから、あの時、アドバイスをくれたんだ。

「・・・・間違ってたかも、だけど」

「鈴さんの行動が間違ってたとしても、私は鈴さんのお陰で、再会という奇跡が後悔のない物にできました。本当に感謝しかないです」

あのままだったら、私、会いに行くことすら出来なかった。会いに行って、話をして、こうして付き合うことになったのは、間違いなく鈴さんにああ言ってもらえたからだ。

「私はまず、鈴さんの再会を願いますね！」

別れ際、私は鈴さんにそう言った。

「ありがとう、由紀子ちゃん。またカフェに誘うわね」

鈴さんは微笑んで、そう言って去っていった。

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