第19話 気持ちを伝えます
「今日の放課後、駅で待ってます!だから、来て下さい!」
そうは言ったものの、不安で不安で、その日の授業内容が全く頭に入ってこなかったが、なんとか一日の授業を受けることができた。
そわそわした気分のまま、駅で少し待つと、池谷くんが来た。
「池谷くん・・・・」
「呼ばれたから、来た」
「あ、ありがとう」
何か、とてもぎこちない・・・・。
「今朝、お、驚いた」
「ご、ごめんなさい!」
わ、私、自分のことばっかりで、池谷くんの迷惑になるかもとか、全く考えてなかった・・・・!
それでも、来てくれた。だから、私は伝えない訳にはいかない。
「ち、ちょっと、伝えたいこと、あって」
「伝えたいこと?」
『・・・・その気持ち、伝えた方がいいよ。伝えないと、このままだよ?』
そうだ。私の思っていることを、ちゃんと、伝えないと!
「わ、私!こないだ、池谷くんが『僕、もう、一緒にいないほうがいいかも』って、言った時、何を言われてるのかわからくて。でも、今日まで、目すら合わなくて、それで、池谷くんはそのつもりなんだってわかったよ」
わかっていた。もう、池谷くんは、自分の想っている人が私じゃないって、気がついたんだって。だけど、この間、鈴さんに指摘されて気がついた。私じゃないとは限らない。私は自分のことじゃないって、決めつけていたから。ただ、普通に距離を取られたんだとしたら、それはとても嫌だった。
「私が池谷くんに助けてくれたお礼として言っていたのは一週間で、もう、それも最後だから、そのまま、解消しても良かった」
本当なら、解消するはずだ。私が提案した期間が、一週間だったのだから。けど、それでも・・・・。
「けど、私、凄く、寂しかった」
どれだけ、勘違いされても良い。私だって、この気持ちが恋なのかどうかなんて、わからない。だけど、同じ電車に乗っていないのは不安で、一緒に帰れないのは寂しかった。それだけだった。
「・・・・僕のこと、怖いんじゃないの?」
「え?」
怖い?怖かったのは・・・・
「この間、クラスの人に『痴漢と同じような恐怖を感じた』って、言ってたから」
あぁ・・・・。聞かれていたのか・・・・。
「あの日は、怖かったよ。急に知らない人から、後ろから抱きしめられたから、怖かった。けど、今は怖くない」
「・・・・じゃあ、何で、信じてくれないの?」私が信じていないこと、つまり、池谷くんが、私の事が本当に好きだ、ということだろう。
その、私の答えは・・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます