第18話 自覚 By 池谷

由希子から逃げた次の日、僕は学校に行けなくなった。

布団にくるまって、まるまるしか出来なかった。

その次の日は、学校に行った。極力由希子を視界に入れないようにした。それなのに、気がついたら由希子の教室の前を通っていて、僕自身、驚いた。

僕の行動にはこんなに由希子が関係していたのかと。

この間、あの頃に戻れたらなんて考えていた僕に伝えたい。

そんなの無理だろ?って。

無意識に追ってしまっていて、極力視界に入れないように努力しないと見てしまうんだ、僕は。


「池谷くん!」

俯いて歩いていた僕に声がかかった。

僕が、いつも聞いていて、再会するまで恋しくてたまらなかった、その声だった。

「僕達、接触禁・・・・」

「今日の放課後、駅で待ってます!だから、来て下さい!」

僕の言葉を遮って、彼女はそう言った。少し、頬が赤かった気がする。

「し、失礼します!」

僕の返事も聞かずに自分の教室の方向へ走っていってしまう。


僕を、由紀子が、待つ。

そう聞いた時、僕の頭はもう、授業どころではなかった。この間自分から由紀子と距離を取ったことすら忘れさせてしまうほどに。

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