第17話 今までの世界を自ら壊す

月曜日、学校に行くまでの電車の中、私はずっとキョロキョロと眺めていた。池谷くんがこの電車に乗っているのかどうかを確認する為だった。

結果、同じ電車に乗っていないことが分かった。

学校の最寄り駅から学校までの道中は、どうやって池谷くんと接触するかどうかだった。

私が自ら池谷くんのクラスに行ったら、会えるだろうか?

その考えが頭をよぎって、驚いた。

私はいつの間に、こんなに目立ちたくないなんて思わなくなっていたのだろうか?抱きしめられたあの日、目立ってしまって、諦めたからだろうか?クラスメイトの誤解も解いた今、目立つ理由はないのに?

『寂しかった』

・・・・そんな感情に動かされるくらい、池谷くんとの日々が大事だったんだろうな。


私は、池谷くんのクラスに行くことに決めた。

今までの世界を自ら壊しに行くことにした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る