第13話 皆からの誤解を解きます!

この一週間、私は池谷くんに私ではないと分かってもらうにはどうすればいいだろう?


そう考えて思いついたのは、男の子とお話する、ことだった。

別に池谷くんと付き合っている訳でもないし、罪に問われることもない。それに池谷くんは私のことが好きなのではないし、私も池谷くんのことが好きな訳では無い。


はじめに声をかけてみたのは、席が隣の男の子だった。

「ねえ、このプリントの提出日っていつかわかる?」

そういうと、とても不思議そうな顔をされた。

「え、そういうの、彼氏に聞いたら?」

彼氏?彼氏・・・・。

「この間の事を言っているなら、残念だけど、あの人は彼氏じゃないよ」

私はそう言った。

「え、ちょっと!今聞こえちゃったんだけど〜!どういうこと?!」

「青山さん!説明して!」

そう、この数日でわかったのだが、池谷くんは結構人気者なのだ。女の子達が私の話を聞いて話しかけてきた。

「私、あの日始めてあの人に会ったの。知らない人に急に抱きしめられて怖かったのよ」

「え、そうなの?」

「池谷くんに抱きしめられるなんて幸せじゃないの?」

「贅沢」

そんな声が聞こえる。

「どれほど人気者だとしても、知らない人に抱きしめられたら、恐怖しか感じないのよ。なんというか、そうね、痴漢とかと似てるものを感じたわ」

少し言い過ぎの様な気もしたが、そう言ってみた。

「え、つまりさ、青山さん、今フリー?」

「ええ。付き合ってる人いないし」

「青山さん!ごめん!私ずっと二人が付き合ってると思ってて、強くあたってた」

「私も!そうだよね。二人に接点ないのに、付き合ってるわけ無いよね!」

「考えたら判ることだったのに、ごめんね~」

女の子達からの謝罪には嫌味もこもっていたけれど、全く気にならなかった。

「フリーなら、文化祭の手伝いもお願いできるか?ほら、彼氏いる女子に頼むと、彼氏が邪魔で誘いにくくてさ。一応皆参加することになってるから」

「分かりました」

私が暮らす環境は、一瞬でもとの、過ごしやすい空間に戻っていた。

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