第5話 その後と昔話

あの話し合いの後、私の世界は元に戻

・・・・らなかった。

逆に悪い方向へ変化していた。


学校での接触は禁止されたのに関わらず、体育の授業はまさかの同じグループになってしまったし、委員会も同じ。

どこの集まりにもその人は居て、私を見つけると笑う。

この笑みが私は最近目を閉じると見えるようになるくらい、よく見かけては恐怖を味わっている。

更に、最寄り駅でも会うのだ。

確かに外での接触は禁止されていないし、別に構わないのだが、段々とストーカーされているのではないかと思い始めてしまう。



そして、私はあの日から思い出していることがある。それは、私の初恋の人である池谷聡のことだった。

彼と出会ったのは小学校五年生の時。

一目惚れだった。

何かと出席番号でペアを組まされることの多い小学校時代だった為、出席番号の後ろの子の名前を見て学年の有名人だと知った私は、好きでもない人のせいでいじめられたらどうしようなどと勝手に思ってしまった。なのに、いざ本人を目にすると、そんなことは全く思わなかった。ただ、隣で嬉しいと、光栄だと思った。そんなこと、今まで誰にも思ったことがなかったのに。

けれど、人気者で有名人の彼には当たり前だけど多くのお友達がいた。男の子も女の子も。そして、彼自身で塾に好きな子がいると皆に話していた。

だから、私は自分の想いを隠した。

隣にいたいと、同じ学校に行きたいと思いながらも、親の期待を裏切ることができなくて、私は私立の中学に入学することになった。

その事を、私は何度も後悔した。

だけど、彼には好きな子がいて、私のことなんか興味ないと思うと、離れて良かったと思うのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る