第3話 変わってしまった私の環境

次の日の学校は、私が今まで作ってきた私自身のキャラというものが存在しない空間だった。

朝、教室に入ればクラスメイトに囲まれる。

廊下を歩けば皆が私を見て、小声で話し出す。

中には私を睨んてくる人までいた。


そして、昼休み、担任の先生に呼び出された。

「昨日の出来事について、男の子側から話があるそうなの」

・・・・話?

「さぞ、怖い思いをしたと思うのだけど、今日の放課後、会ってお話してみないかしら?私達教師も、生徒同士の意見を聞いてからでないと、接触禁止とかの措置も取りようがないの」

「接触禁止・・・・」

「ええ。生徒を守るのは学校や教師の役割だし、社会に出る前に悪い事を改めさせるのも学校や教師の仕事だからね」

確かに守ってもらえるのはありがたいし、極力接触なんてしたくない。

だけど・・・・もう放っておいてほしい。

正直う、うんざりだった。

私はこの高校で、両親の望む大学に行けるように、中学と同じで良い子でいなければならない。勉強が出来るように、先生に気に入られるように、だけど、目立たないように。

なのに・・・・、もう、それは叶わない。

両親には連絡が入っていない。だけれど、先生の評価は以前より下がってしまっただろうし、学校であれだけの注目を浴びてしまえば、いじめのターゲットにされることもあるかもしれない。私にとって、学校は安全では無くなった。


「ごめんなさい」

放課後に男子と話し合っていても、私は既にどうでも良くなっていた。怖くて男子の表情なんて見れるわけもなく、私はただ、うつむくしか無かった。

「決していやらしい意味があったとかじゃないんです。だけど、嫌な思いをさせてしまいました。罰なら何でも受けます」

罰を受けたら許される、そう思っているようなその言葉に少し怒りを覚えたが、怒る気にもなれなかった。

「僕、池谷聡っていいます」

事件の被疑者は池谷くん・・・・池谷?

池谷聡・・・・?!

その名字を聞いて、私は顔を上げた。

「覚えててくれた?」

池谷。それは、私が小学校の時に恋に落ちた、初恋の人の名字だった。

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