第2話 始めての保健室

何で、こんなことになってしまったんだろう?

私の名前を呼んだのは、私の手首を掴んだのは、私を抱きしめたのは、誰だったんだろう?

私は、あのあと・・・・


・・・・っ!

「良かった、目が覚めたのね」

目を開けると、天井が見えて、更に白衣を着た女の人が私にそう話しかけてきた。

もしかして、私、倒れてる?

「気分はどう?」

「だ、大丈夫です」

「そう。保健室で三十分くらい寝てたわ」

保健室・・・・。この学校の保健室、始めて来たなぁ。

「何があったのか、聞いてもいい?」

その言葉を聞いて、私は現実に引き戻される。そして、さっきの事件の内容を全て話した。

「なるほどね。それは、怖かったでしょう?」

「は、はい」

「でも、今度会ったら、逃げすにお話をしたほうが良いかもしれないわ」

「え・・・・」

正直、もう会いたくないし、話すことなんて無い。怖かった、そんなこと言う意味がない。それに私は謝って欲しいわけじゃない。もう、近づかないで欲しい。

「私はその男子生徒の事は知らないしなんとも言えないけれどそれでも話すべきよ。貴方は貴方で怖かったでしょうけど、きっと、彼は彼で貴方が倒れて驚いたでしょうから」

確かに、そうだ。誰が先生に伝えてくれたのか、ここに運んでくれたのか、わからない今では、私もあの男子に迷惑をかけてしまった可能性もある。謝るだけなら、怖くても少しは我慢できる。

「分かりました」

「今日は保健室に居ていいわよ。教室にも戻りにくいでしょうから」

保健師さんの提案を、ありがたく受け取り、その後は保健室で過ごしたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る