女神

「おーい、見ているでしょ?女神」


 アレイスとゼノの二人と徹底し、彼女たちを森の洋館の方へと送り返した後。

 僕は再びあの場所に戻ってきた女神へと声をかける。


『……えぇ、見ていますよ』


 僕の言葉に女神が頷くと共にこちらの方へと声をかけてくる。


「魔族の死体がこれだ」


 僕は魔族の死体を足で突きながら女神へと声をかける。


「何か気づいた?僕は違和感を覚えた程度だった」


 魔族の死体。

 それを前にする僕は、何処か不気味な違和感を覚えていたのだ。

 

『……』


 だからこそ、これについてわかりそうな女神へと声をかけたわけだ。


『……私もイマイチわかりません。ですが、そこの中から大事なものが抜かれています』


「大事なもの?」


『そうです』


 僕の言葉に女神が頷く。


『ですが、それが何かまではわかりません』


「なんだよ」


『私だって全知全能というわけではないのです』


「神なのに?」


『そんな話は人間からの押し付けです』


「えー」


『全知全能なら邪神を出してもいません』


「それもそうか」


 僕は女神の言葉へと頷く。

 まったくもって彼女の言う通りである。


「じゃあ、今のところわからないと?」


『わかりません……ですが、警戒しておくのが得策でしょう』


「……はぁー、面倒だなぁ」


 わからないものが1つ。

 それを前にする僕は頭を掻きながら言葉を漏らすのだった。

 

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