捕虜
最初の方は順調であった。
アレイスとゼノの二人は確実に魔族たちを追い詰めていた。
「敵の魔法を通すなっ!あの女を自分たちの懐に潜らせるなぁっ!」
「たった二人の餓鬼に我ら神に仕えし魔族たちが負けていいはずなどっ!」
「耐えろっ!そして、機会をうかがうのだ。その時は確実に来る。我々はただ待つだけで良いのだっ!」
だがしかし。
「……くっ。硬いわね。魔族たちなんてさっさと私の手によって切り裂かれてしまえばいいものをっ」
「どうしましょう。うまく切り込めませんね……あのクソ天使。もうちょい役に立つことも教えろや」
魔族たちが一丸となって防備を固めた結果。
アレイスとゼノは攻めあぐねる結果となっていた。
「長い」
紅茶を存分に堪能し、書物を取り出して読み進めていた僕は小さな呟きを漏らす。
思ったよりも長い……ここまで苦戦するか。
防御を固められた敵の破壊方も学んでいないというのか。
「潰えろ」
僕は書物を閉じると共に魔法を発動。
たった一人を除くすべての魔族たちを魔法で一網打尽にしてやる。
「さて、と」
そして、自分が使っていた物たちもすべて整えて僕は最後に残した魔族たちの方に近づいていく。
「……ねぇ、一人でここまで手早く終わらせられるなら最初からやってよ。私たちが一生懸命戦っている間、一人でゆっくりとくつろいでいるのじゃなくてさ」
「……凄いです」
「なんで僕が戦ってあげなければいけないのだ、お前たちも成長せぇ。何をなすにしても最後は結局力だぞ」
僕は自分の元にやってきて声をかけてくるアレイスとゼノの二人の声をはじき返すと捕虜とするために生かしていた魔族の前に立つ。
この魔族は情報通であるのだ……ゲームの設定によれば。
「……ッ!?」
「お前の持つ情報。根こそぎ貰っていくぞ」
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああっ!?」
僕は魔族の方に自分の腕を伸ばすと共にその頭へと触れ、魔法によって彼が持つ情報を抜き取っていくのだった。
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