進捗

 アレイス、天使、ゼノが色々と情報のすり合わせをしている間。


『やりすぎですよ。ゼーア様』

 

 僕個人だけに聞こえるように設定を変えた女神がこちらへと声をかけてくる。


「僕のやり方に文句を言わないと言っただろう?」


『それにしても、という話をしているのです。明らかに問題的ですよ。ここまでの戦禍を生み出すとは……さしもの私も予想外でした』


 僕の言葉に対して、女神は明らかにこちらを非難する言葉を上げる。


『魔族の脅威が表沙汰になれば、もっと人類も一致団結して戦争を完全に回避出来る可能性もあったというもの。何とももったいない』


「だけど、邪神が復活するよりは遥かに安上がりだ」


『確かにそうですけどね?』


 人を資源としか扱っていない僕の発言。

 それに女神は特に深くは何も言わず肯定する。


『それで?進捗としてはどんな感じですか?しっかりと魔族たちの対処は出来ていますよね?あれだけの犠牲を払いながらも何の進捗もないわけはないに決まって今増すよね』


 そして、そのまま女神はすぐに戦争のことは受け流して、どれだけの被害を魔族に与えられたかを尋ねてくる。


「どうせ、上から見ているでしょう?すり合わせはこちらであっても大事だと思いませんが?もしかしたら、上である貴方にまで届いていない状況があるかもしれないですし」


「はっ。自分はあの三人と立場が違うと?」


 こちら。

 まるで自分をアレイス、天使、ゼノの三人とは別の枠組みに置くかのような発言に僕は噛みついていく。


『……こほんっ。かつては情けない姿を見せましたが、私は頭脳明晰冷静沈着美少女女神様です。こちらの方こそが通常運行です』


 頭脳明晰冷静沈着美少女女神様。

 非常に頭の悪い語句である。

 こんなものを言っている人間が有能であるはないが、実際にあの女神は何だかんだで頭の切れるところが多い。


「さよか。まぁ、いいや。じゃあ、情報交換していこうか」


『えぇ』


 アレイス、天使、ゼノの三人が情報交換をしている間、僕は女神と情報共有していくのだった。

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