秩序の崩壊
パトーク王国の国王がカエサル家に目をつけ、アレイスを動かそうとしたときにはもう遅かった。
ここ一連の流れはあまりにも早すぎた。
もう平和を維持するのもそろそろ限界を迎えつつあった世界において、たった一人の少年の暗躍と共に始まった一連の流れは。
もはや小手先の対策で終息に向かわせることなど出来るはずもなかったのである。
「きゃぁぁぁぁああああああああああああああああ!?」
「うわぁぁぁぁああああああああああああああああ!?」
「ま、魔法だぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!?」
パニックと混乱、悲鳴。
「皇太子殿下っ!?皇太子殿下ッ!?医務官!医務官はどこだっ!?」
「た、大変ですっ!?医務官も共に攻撃を受け、意識不明の重体ですっ!」
「何ぃっ!?」
鮮血と致命傷、被害。
「目的は達した!ずらかるぞ!」
「はっはっはっは!セルタ小国に幸あれっ!我らセルタの民に幸あれっ!」
「クソガァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
「皇太子殿下っ!皇太子殿下っ!?他にいないのか!回復が出来るものは!」
「いませぇんっ!?強硬での凱旋であったこともあって、連れてきた人員があまりにも少ないのです!」
「で、では民間はっ!?」
「何がセルタだっ!?」
「我らのセルタの民を馬鹿にするのかっ!ここは元より我らセルタの土地だぞぉ!」
「きゃぁぁぁぁああああああああああああああああ?!」
「下手人を逃がすなァ!」
「待ってぇぇぇぇぇぇぇえ!逃がすなっ!おえっ!おえっ!追うんだァ!」
オーハン王国とセルタ小国の間で起きていた国境紛争。
セルタ小国が不当占拠していると声を上げていたオーハン王国の土地、クルケタの街で一つの事件が勃発した。
ここ最近、急速に沸き上がっている民族意識を抑えるため、クルケタの街を凱旋して回っていたオーハン王国の皇太子が今日。
不届き者の手によって攻撃され、その命を散らしたのだ。
「ふっふっふ……これで楽に動けるな」
世界という一つの大きな火薬庫に。
火が、ついた。
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