これから

 僕の告げた『僕のやり方に文句を言うんじゃないぞ?』発言に、少しばかりビビった女神であるが、最終的にはその条件を飲むことを容認した。


「ということで、まず考えなきゃいけないのはこれからのことだ。何をするにしても、まずは重要なのが戦力だからな。その点で、ゼノの教育は大事だろう」


 女神が用意していた道具を一部使えない上に、筋力的に劣る女になってしまったゼノではあるが、それでもその才能が消えうせたわけではない。


「かといって、僕がこんなところに毎日出向くわけにも、平民生まれの少女を僕が貴族家に連れ込むのも、家庭教師をつけるのも色々と面倒だからな」


 出来なくはないだろうが、周りへの説明が面倒。


「ということで、天使が面倒を見てろ。どうせ、僕の側にいても特に役立つことないし」


「えぇっ!?」


 僕の言葉に天使が心外とも、驚愕とも言える大きな声を上げる。


「当たり前だろう。お前が僕に何で寄与するつもりだったんだ。雑用には慣れているようだし、このままゼノの面倒を見てくれ。それでゼノ」


「は、はいっ!?」


「君にはこれからこの洋館で暮らしてもらうから。一応、すべてが揃っているから問題なく生活できるはずだよ」


「えっ!?こ、この広い屋敷を俺一人の為に?!」


「一人でこの洋館を維持しろ!などと言われて心配かもしれないけど、心配しなくていい。ここは魔法によって清潔さなども維持されているからな。君一人にすべてを任せることはないから大丈夫だ」


「……い、いや。俺はそういうわけで言ったわけじゃないのだが」


「んっ?」


「……いや、良いです……ありがたくいただきます」


「あぁ、そうしてくれて。後、別にわざわざ僕に対して敬語を使う必要もないからね。さて、女神。これで良いな?僕はお前の作った道具とかいらないし、ゼノが使えそうなものもゼノに。天使だけだと不安だから、お前もフォローしてやってくれ。しっかりと戦力となるように頼むよ」


『と、とかぁっ!?む、無理やりにでも押し付けて、私の作った道具が如何に素晴らしいかを教えてあげていいんですよっ!?』


「僕のやり方には口出しするなよ?」


『ぐぬぬ………』


 これで他の三人への指示は終わった。


「それじゃあ、これから僕は戦争をちょっくら引き起こしてくるわ」


 これから僕の行うことに関してである。


「えっ……?」


「……はい?」


『……ん?』


「それじゃあ、ここのことは任せたよ」


 自分が何をするか、それについて簡潔に告げた後の僕はこの森の洋館を去っていくのだった。

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