選択

『うぅ……そこまで言わなくていいじゃないですかぁ。私だってね、私だって、私は忙しいんですよぉ。世界の管理も邪神の管理も周りが押し付けてきますし、邪神のこともあってあまり放置するわけにもいきませんし、男神たちは私が真面目過ぎるとか言って遠ざけてきますし。あんまりじゃないですか!私は真面目にお仕事を頑張っているだけですのに!』


「残酷ショタだ……あ、あわわ……はぅわぁ」


 フルスロットルで回した僕の口撃。


「女神と天使が口論如きで動揺するなや」


 それを前にこれ以上ないほどの完敗を喫した女神と天使に対して僕はため息を吐く。想像以上に弱かった。


「一先ず、天使はさっさと帰れ。僕はカルムを回収してくる。こっちで精いっぱいバックアップしておけば最低限のことはできるだろう」


 物事の恒久的な解決。

 つまりは邪神の討伐はいくら主人公であっても、女神からのバックアップ無しで完遂することはできないだろう。

 だが、それよりも前の段階であれば別だ。

 僕が生きている時代の平穏くらいは守れるだろう。


『さ、最低限とは?』


「別に邪神なんて知ったことじゃないしな。後世に起こる問題は後世が解決すればいい。僕はあくまで死んでいるから別に良い」


 邪神の復活が起きるのは僕が死ぬよりも前、老人になったくらいです!と言われたら泡食って対処に移るが、それ以外であれば別だ。


『待ってください。邪神は放置できるような問題ではないのです!』


「女体化を止められなかった女神が悪いだろう。僕は関係ないな」


『それを言われると弱いのですか……それでも、邪神の問題は人類全体の問題でもあるのです!貴方の子女、孫が苦しむのですよ!』


「僕の子供ならそれくらいの困難くらい乗り越えて見せろ」


『そ、そんな雑な振りで何とかなるような相手ではないんですって!』


「うるさいなぁ……そこら辺の話はあれだろ。カルムを連れてきたからでも問題ないだろ」


 というか、女神。

 最初期にあった威厳もミステリアスさも完全に捨ててきたな。

 今の女神はまるでカッコよくない。


『……そう、ですね。とりあえずはカルムの救助をお願いできますか?』


「言われるまでもないよ」


 僕は何かあっても大丈夫なように軽く武装していく。


「……あっちだな」


 そして、カルムがいるであろう場所。

 そちらの方に視線を送った僕は飛翔魔法でもって森の方に向かうのだった。


「あっ、待ってくださぁーい!私も」


「お前は来るなっ!帰れ!」


「無理なんですよぉ!」


 よくわからないおまけも連れて。

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