女体化
僕は今、何を言われているのだろうか。
「……ん、んん?えっ、待って?」
女体化した……?主人公が、主人公が女体化した?
僕は困惑しながら頭を抱える。
「ま、待て……待って?その女神が、目をかけていたとある正義漢とはカルム・サウザンドであっている、か?」
『はい、そうです』
無慈悲なれど。
僕の言葉に女神は頷く。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ!?」
その答えに僕は立ち上がって激情の声を上げることしか出来ない。
『現在のカルムは女となったことで変容しつつある自分の感情に加え、友達であったはずの男の子や頼っていたはずの男性から下衆たる視線並びに対応を取られ、逃げるように……』
「……それで?」
『それで逃げ込んだ先の森で死にかけていますね』
「何してんねんっ!」
女体化して、村を飛び出して森に迷って死にかけている主人公なんて聞いたことねぇよっ!
「マジで何してんねんっ!!!」
主人公が行動停止とか最悪を超える最悪やろっ!?
僕がストーリーとかに影響を与えるよりも前に、まず初手で詰んでいやがるっ!
「おい、女神。そのクソがどこにいるか教えろ」
『……もう、言葉遣いに遠慮が亡くなりましたね。別に良いですけど。その人物の場所は既にわかるのでは?カルムが生まれた村の隣にある森です』
「……あそこか」
主人公の村近くの森と言えばあそこしかない。
チュートリアルが終わると共にいけるフィールドであるが、無駄に強くて敵のレベルが高い場所である。
「無駄にデカくなった乳を斬り落としてくれる」
立ち上がった僕はそのまま主人公を回収するべく動き出す。
「バイオレンスっ!?」
そんな僕に対して、天使は恐怖に引き攣った声をあげる。
『流石にそれはちょっと可哀想なので辞めてあげてください』
ついでに言うと女神まで止めてくる。
『正直に言って、才能だけで考えるのならばあなたが一番ちょうど良いのです。性格に難がありますが……どうせ暇でしょう?』
「他人から強制されるのは好かん」
『私の体を一度だけ自由にさせてあげますよ?最高の褒美でしょう?』
「いるか年増ババア」
『……おっと、……おっと、お、おっと……おっとと。っま、待ってください。その呼び名は辞めてくれませんか?正直に言って、想像の五千倍は効きました。わ、私はこれでも美女神ですし、おっぱいも大きく、未だに……ちょ、ちょっとしか垂れていませんっ!まだそんな呼ばれ方をされる謂れはありませんっ!』
「億年単位の処女が背伸びしたこと宣ってんじゃねぇぞ。自分の親友が一足先にイケメンの男神と付き合って処女を散らかしたからって焦って下界の男に手を出そうとしているんじゃねぇよ」
『はぁぁんっ!?』
そんな女神へと僕は遠慮なくダイレクトアタックを叩き込むのだった。
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