のけ者
「ったく。しっかりと、お前の孤児院のことも救ってやっただろう?いつ消し飛ばされてもおかしくない孤児院をこの街へと移し、しっかりと治安のよい場所でしっかりとした生活の元で教育を受けられるようにもしてやった。ここまで優しいのなんて僕くらいだぞ?」
僕は自分に悪態ついてくるノアに対して言葉を返す。
しっかりとノアが元居た今にも飛んでなくなってしまいそうだった孤児院全体でこの街へと移住。
ここで安全で安定した、しっかりとした生活を送れるようにしてやった。
大きくなった後の職業斡旋を行うことまでもを保証してやっている。過剰すぎるほどの支援である。
ここまでしてやって何が不安だと言うのか。
「それは、確かに……そうで、感謝しているけどぉ」
「おう。じゃあ、謝れや。僕に悪態ついてごめんなさい、ってな」
「はぁ?なん」
「でないと、孤児院を潰す」
「ごめんなさい」
自分ではなく孤児院のみんなに被害が出そうであると判断したノアはしっかりと爆速で反応して僕への謝罪の言葉を口にする。
「それでよい」
「あれ……?もしかして」
僕とセレータの会話。
そして、ノアとの会話まで聞いたアレイスが首をかしげる。
「今回の騒動では本気で私がのけ者にれている、感じ?私は本当に何も関わって、いない?何も得していないし、何も知らされていない……?えっ?」
彼女が口にするのは自分の待遇についてである。
「色々動いてくれたことには感謝しよう」
今回、僕が連れてきた中でアレイスだけは何の得もしなかった。
むしろ、伯爵の品癪を買ってもいるので、他人からの評価は下がって自分は何も得ないという本当に悲しいやつである。
「……利用、されるだけ利用されたぁ……うぅ、せめてこいつの被害者にあった人たちは助けられるように頑張ろう」
ここで、自分に何か、ではなく周りの人に何か得がないかと考えるあたりがアレイスである。
「結局、ここでの騒動も諸々のことを考えると世界の幸せ、不幸せはトントンみたいなことになっているし……この後もルガンが統治することを考えたらどれだけの不幸が生まれることになるのか」
「まったく、酷い奴だな」
「これまでの行いを考えれば妥当だよ」
「まぁ、お前のおかげで僕がどれだけ弱者を斬り捨てても勝手に救済されているから助かるのだけどな」
「ちょ、ちょっとーっ!?そんな風に私を使わないでよねっ!?」
「はっはっは!」
僕はアレイスの言葉を笑い飛ばしながらも、冗談だとは口にしないのだった。
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