結末

 剣奴たちの反乱から始まり、僕の手によって話が想定外の方向に発展していってしまった本騒動は最終的に僕が一人勝ちするような形で終結した。

 オストワ伯爵家当主は街の統治権を僕へと譲渡。すべての奴隷を開放することまで宣言し、奴隷たちの完全なる勝利かと思われたが、そもそもとして剣奴たちは純粋に力がなかった。 

 

 オストワ伯爵家当主との戦いで剣奴たちの集団は半壊。

 街の中で力を誇れるだけの勢力を残せなかった。

 性奴隷たちも、奴隷から解放されたと言えども別でお金を稼ぐ方法があったわけではないので

 雑事として使われていた奴隷たちは職を失ってホームレスになっている。


「ふんふんふーん」


 街の統治権を貰い、街における要職の全てをしっかりと牛耳った僕がまさしく一人勝ちと言えるだろう。


「はいはいはーい。それじゃあ、この契約でこの街の娼婦街を守ってあげるよ」


 街の性奴隷もとい娼婦となった者たちを管理する立場にまで成り上がった勇敢にも僕に歯向かってきた性奴隷が差し出してきた書類にサインする。

 書かれている内容は娼婦たちの身がしっかりと守られるように街として保護する代わりにたんまりと上納金を支払う契約についてだ。


「……ッ」


「しっかりと上納金は納めてねぇ?」


「……全部、貴方の目論見通りだったの?」


 苦虫を噛み潰したような表情を浮かべている性奴隷は僕に対して疑問の声を上げる。


「半分くらいは」

 

 この街の統治権を得るところまでは僕の目論見通り。

 その過程で僕が思ったよりも介入しなきゃいけなくなったのは計算外である。あそこまで酷い状況になっているとは思わなかった。


「……既に、貴方が連れてきた人間たちの手によってこの街は作り替えられている。

職を失った奴隷たちも多い。私たちはもう、反乱を起こした危険な奴ら。過去の歴史として、今も生きているのに忘れ去れてしまいそう」


 この場には既に多くの者たちがいる。

 剣奴に対しても使えもしない雑用係の居場所などほぼないに等しい。

 そして、娼婦たちもそう……既に性奴隷たちとは別で商人が運営するしっかりとした娼館が出来上がっている。

 貴族用に丁寧に扱われていた一部を除いて、これまでゴミのように雑な扱いをされていた性奴隷たちは既に女としても売れなくなっている。


「悪いが、コロシアムは再開させないぞ?奴隷でもない人間を賭け事に使うなんてやりにくいからな」


「……わかって、いるわ」


「それでは、去りたまえ。これからも君たちに幸があることを望んでいるよ。それでは僕のも仕事があるので」


「……えぇ」


 意気消沈とした態度を見せる性奴隷を僕はそのまま見送るのだった。

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