仕事ぶり

「ふふふ……」


 途中で、性奴隷の女が宣いだした私たちに永続的に支配するつもりは無い、そのような能力もないなどという妄言。

 僕という人間に力を借りておきながら上を目指さない怠慢行為。

 それに若干の苛立ちを覚えた僕は自分の持つ敏腕を振るい、しかとこの街を再建してみせた。


 元より、奴隷を見世物にするという産業に力を入れすぎていたこともあってありとあらゆる産業が成長していなかったこの地に何とか特産を生み出した。

 それだけでなく、迫害されていたり、職のない人間だったりを募集することで人手までもを募って見せた。

 たった一ヶ月でここまで成長させるなど、流石は僕である。


「ふふふ……完璧!」


 まさに僕の仕事ぶりは完璧。


「……改めて、本当にすごいわね」


 そんな仕事ぶりにはあの生意気な性奴隷の女も素直に褒めることしか出来ない。


「そりゃまぁね?僕もこれでも貴族やぞ……これくらい容易い」


 僕は性奴隷の女の言葉へと素っ気なく答える。


「……でも、私たちのためにここまでしてくれて良かったの?その、貴族として」


「……」


 僕はその言葉に対して、そっと視線を逸らす。

 ちょっとだけ不味いかもしれない……けれでも、なんやかんやでがんばれば行ける気もするけど。


「うーん、まぁ……うーん」


 色々あるがそれでもまぁ、大丈夫だろう。


「……る、ルガン……さ、様?」


 そんな中で、雑用として便利使いされていた元奴隷が僕たちのいた部屋の中へと入ってくる。


「何の用だ?」


「る、ルガン様をお呼びの方がいらっしゃいます」


「ほう?誰だ?」


「も、元々この街を支配していた貴族様と、だ、だ、第二王女殿下が、およびになっておられます。特に、第二王女殿下の怒りはすさまじいものであり……い、如何なさいますか?このまま、叩き返してしまってもよろしいでしょうか?我ら奴隷、ではなくルガン様へのご連絡らしいのですがぁ……」


「……おーっと」


 僕は震える伝令の口から飛び出してきた言葉になんとも言えない声を上げるのだった。

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