挑発

「くくく……」


 僕は全裸となりながら、堂々とこちらへと皮肉を口にする性奴隷であった女に対して笑みを浮かべる。


「な、何よ……ッ」


「中々出来ぬぞ?貴族に対しての物言い。くくく……我らが、汝らを人だと見ているとでも?」


 僕は笑みを浮かべたまま言葉を口にする。


「地べたを這いずり回り、何も出来ず、己に這いつくばることしかできない下等生物、尊き貴族に及ばぬ奴隷。そんなものが同格の人であるとでも?実に片腹痛い。良くて道具だ」


「でも、貴族である貴方は私の体を求めているのでしょう?卑しいわね。私のような道具ではなく、人との性行為を為されては?あっ、もしかして人には相手にされないのかしら?醜すぎて」


 僕の挑発に対して、全裸の性奴隷も負けていない。

 周りがとんでもないくらい焦っている中でも、堂々たる態度を崩さずに全裸の性奴隷は僕に対して長髪の言葉を繰り返す。

 その瞳に宿るのは恐怖と畏怖。されど、負けないという強い意思も宿っている。


「はっはっは!とりあえず今日は満足したぞ!存外、面白い」


 剣奴。奴隷。

 思ったよりも優秀な人間が集まっての反乱だったみたい……これは、もしかしたら面白い下克上を見れるかもしれない。


「どうせならぁ……貴族にも勝ってほしいよねぇ?」


 奴隷如きに二度も、土をつけられた貴族。

 どうせ元より下でもがいている人間が苦しむ姿を見るより、上にいる人間が下に引きずり降ろされる姿の方が見ていて面白いだろう。

 前世から、自分が上だと思っている人間を下に引きずり込むときが一番楽しかったのだ。


「んっ……っと」


 僕は席から立ち上がる。


「おい、全裸のお前。そのまま僕についてこい」


「えっ……はっ!?」


 僕の言葉に全裸の性奴隷は驚愕の声を漏らす。


「性奴隷なのだし、これくらい良いだろう」


「……わ、私はそこまで安い女じゃないわ。誰にでも裸を見せることはないっ!」


「ふっ、よくわかってきているじゃないか。服着て良いぞ、執務室の方に行く……運営の仕方がまるでなっていないのでな」


 僕はいそいそと服を着始めた女性から視線を窓の方に移しながら言葉を話す。


「このままじゃ何も出来ず、早々に潰えるだろうからな」


「……それは、私たちへの再びの挑発ですか?」


「冷静に考えてみろ、僕一人でもこんなちんけな反乱を叩き潰せるぞ。その他の貴族が出来ないとする根拠は何処だ?」


「うぐっ」


「基礎がなってない。まぁ、奴隷が知っていたら怖いことでもあるが……ほれ、行くぞ。女」


 僕は性奴隷の女を連れて部屋を出るのだった。

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