反乱
剣奴の反乱。
「まぁ、自然と言えば自然か」
この街における剣奴の扱いは決して良いものでは無い。
反乱が起きるのも妥当という話だろう。
「……見世物」
この街に詰めかけている剣奴たちは全員がただの見世物である。
彼らは賭け事の対象として毎日のように命がけで戦い、人々の見世物となるのだ。
ここでの生活は劣悪そのもの、そこに人権などない。男は戦い、女は性を売る。それが出来ぬ者は処分されるか、雑用係のいずれかである。
それに反発した剣奴たち……というか、この街にいた奴隷たちすべてが反乱を起こしているので普通に奴隷たちが起こした反乱で良いのか。
奴隷たちは見世物であり続ける自分たちを否定して反乱を起こした。
「それが嫌で反乱して、結局のところ僕の見世物になっているんだから世話ないよね」
されど。
剣奴の長が用意した一室で紅茶をすする僕は観戦者としてこの場にいる。
反乱を起こした奴隷たちを見世物としている僕を剣奴の長が必死に接待しているという図は何とも皮肉なものだろう。
「「「……ッ」」」
それに対して、僕の給仕の為に己のいる部屋へと詰めかけている性奴隷たちが歯を食いしばらせる。
「いや、別に君たちをおちょくるつもりはなかったんだよ?」
その反応を受けて僕は一応、弁明の言葉を口にする。
「一応、うちの国には奴隷の最低限度の人権も保障するような憲法もあるしね?君たちの行いには理解を示すとも。だからそこまで怒ってくれるな。それに、あの剣奴の長の能力も非常に高く評価している。奴隷たちをすべて己の統制下におき、恨み妬みがたまっているであろう中でもこの街にいた住民並びに貴族に危害を加えずに逃がしたのだろう?普通に偉業と言っていい」
部下の統率。
その難易度はかなり高い……それを、完璧に行って見せた剣奴の長の能力は高いだろう。
「あまつさえ、君たち性奴隷たちは解放された後、股を開いていないのだろう?剣奴たちにレイプされることもないという。荒くれ者である剣奴たちに無理やり女性たちの股を開かせぬように統制を取るなんて簡単にできることじゃない」
今回の一件はゲーム本編でサラッと話題に出てきた程度の事件である。
そんな小さな事件を首謀した男のくせにあの剣奴の長はかなり優秀だ。
「……随分と皮肉が上手いのですね」
僕の言葉を聞いていた性奴隷たちの一人が、口を開きながらこちらへと近づいてくる。
「私たち女性たちに無理やり股を開かせるように命令する荒くれ者のお貴族様にしては、ね?」
そして、そのまま彼女は己が着ていたドレスを脱いで全裸となりながらも気丈に僕への皮肉を口にするのだった。
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