再び
僕がここで待っていた相手。
「す、すまない!待たせてしまったかい!?」
それは女頭領であるセレータである。
彼女は裏社会を生きる巨大組織のトップ。当然、奴隷売買にも詳しい。
剣奴の反乱で彼女を連れて行かない道理はないだろう。
「別に待ってなどいないとも。それで、ほらさっさと部屋の方に案内せい。僕たちの滞在場所の確保を頼んでいたよね?」
「そこはもうバッチリだよ!私に任せてくれ!」
僕の言葉にセレータが笑顔で頷く。
「……なんで」
「誰かしら?この人」
そんな僕とセレータの会話の後ろで、ノアが驚愕の表情を浮かべてアレイスが疑問の声を上げる。
「我が家の交友関係にあまり王家が突っ込んでこないでほしいね。ほら、ノア。アレイス。さっさと行くぞ」
そんな二人に対して僕は魔法で作った火種を消してさっさと二人に行くよう声をかける。
「ほれ、案内してくれ」
「おう。わかったよ」
僕の言葉を受けて歩き出したセレータに続いて、ノアにアレイスも歩き始める。
「そ、それで……?あの話は考えてくれたかい?」
道中、セレータが僕におずおずとした態度で疑問の声を上げてくる。
彼女の告げるあの話とは初めて会った日に話した
「あぁ。でなければここで呼びつけない。受けようとも」
よくよく考えたらアレイスとも関係をもうもってしまっているのだ。
セレータくらい誤差だろう。
別にゲームのシナリオから離れるなんてきっと簡単に出来るさ。未来の僕が頑張ってくれるだろう。
「……良かった。いつまで、こんなグレーなことをしていられるか、不安だったんだよ。どこまで、私についてきてくれる部下のことを守ってあげられるのか。それが、不安で」
「別にグレーなことは今後もしてもらうが、少なくとも潰れないように守ってやる。それに表の仕事も増やしてやる……僕がすることはそれで良いな?一応、既にお前たちと敵対していた貴族家には話をつけてある」
「あぁ。もちろんだ……本当に、ありがとう。助かったよ」
僕の言葉を聞いてセレータがお礼の言葉を口にする。
「別に良い。馬車馬の如く働いてもらうだけだからな」
「あぁ!任せてくれ!私たちはここに来るまでで色々なことをやって、大変なことも数多く経験しているからな。これくらい……いくらでも頑張って見せるさ!」
「それなら良かった。大いに期待しているとも」
「あぁ、期待していてくれ!」
僕はセレータと言葉を交わしながら、彼女が取ってくれた自分たちの滞在場所へと向かっていくのだった。
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