興味

「このみかん?だっけ、美味しいわね」


「……貴族はいつもこんなものを食べているのか。俺たちは残飯だぞ?」


 僕と共に一つのこたつに入ってみかんを美味しそうに食べているアイレスとノアの二人をぼーっと眺めながら僕はレゾンの体を自分の足で遊ぶ。

 もう既に二人は何のためにここへと来たのかなど覚えていないだろう……これで、僕の勝ちだ。


「何をしておるのじゃ」


 だが、そんなところで祖父が顔を見せる。


「お主ら二人、なんでルガンと同じこたつの中に入っているのじゃ。ぐーたらしているルガンを出してくれ、って話していただろう?」


「「……ハッ!」」


 そして、祖父が口にするのは中々に看過できない言葉である。


「またお前か、ジジィッ!?あの日のこと祖母にチクるぞ、ゴラァっ!」


 これまた唐突に僕の日常を破壊しようと画策してきたクソジジイに対して僕は暴言を吐き連ねる。

 いきなりの模擬戦しかし、このジジイは僕に嫌がらせをしないと死ぬ病にでもかかっているというのか。

 邪魔にもほどがある。


「そ、そ、そ、それは卑怯じゃろうッ!?」


 そんな僕の言葉にジジイは悲鳴を上げる。


「なら、黙っていろっ!冬は動かん!寒いだろうがぁっ!」


 夏場は……暑いしな。春や秋だったら暇つぶし目的に人間リアリティーを見たり、世界の絶景を見に行ったりしに行ってもいいかもだが、冬はない。

 

「何を言っているの!そんなの駄目に決まっているわ!人間は動いてこそ!今日も元気に世直しの旅をするのよ!」


 ジジイをあの時の性風俗店で、呑めや歌えたやのどんちゃん騒ぎをしていたことを祖母にチクるぞと脅しをかけてある程度抑え込もうとしていた中で、今度は面倒なあいつが、アレイスが再び騒ぎ始める。

 

「あぁ!厄介な奴が再起動しちゃったじゃないかっ!お前、そんなことを言うならこのこたつから追い出すぞ!良いのか!この暖かさもレゾンのもふもふも、全部なしだ!」


「……これはちょっと惜しいかも」


 あれ?案外押せば丸め込めるのか?

 僕は自分の言葉に押され始めたアレイスを見て希望を抱き始める……こたつはやはり、最強であったのか。

 こたつは世界にて最強。


「待つのじゃ。ルガン的にも好きそうなものを見つけてきたのじゃ」


 そんな中で、ジジイが再度口を開く。


「剣奴が反乱を起こしてな。中々な混乱が広がっている……そこら辺の、話はお主好きじゃろう?遊んで来たらどうじゃ」


 そして、祖父が告げたその言葉。


「……おーん」


 その中々に興味深そうな言葉の響きを受けて、僕の中に迷いが生じるのだった。

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