帰還
自分の目の前にいるセレータから告げられる取引並びに本人の身体の話。
だが、セレータの初物を奪う云々は正直に言ってどうでもいい……個人的に興味があるのがこの組織そのもの。
主人公陣営に敵として目をつけられるほどには強大で影響力のある組織に強い興味がある。
冷静に考えてみると、割と仲間に引き込むのはありな相手なのかもしれない。
「うぅーむ」
「な、なんてところで悩んでいるんだよ!」
悩み始めた僕に対して自分の後ろにいたノアがツッコミを入れてくれる。
「ふ、不潔だ!不潔!じょ、女性を抱くという選択肢が入ったことで真面目に考え始めることに!」
「ほざけ。既に僕は何人も抱いている。今更だ……そんなことより僕としてはそいつの身体より組織の方が興味はあるな」
「……えっ?私ではないのか?」
天秤だな。
自分が主人公と敵対して断罪される可能性が上がるか、それとも便利な手駒を手に入れるかの。
「……おーん、でも手下いた方が面白そうではあるんだよなぁ」
自分に手下がいれば色々と動きやすいところはある。
「……私に性的な魅力はないのだろうか?性格はともかくとして見た目としてはかなり良いものだと自負していたものだが」
「ん?別にお前以上の女は五万といるからな。特別製などないだろう」
僕が悩んでいる間。
自分の胸を揉みながら己の女としての魅力について悩んでいたセレータを僕はバッサリと斬り捨てる。
「ぐはっ!?」
僕の言葉を聞いたセレータはショックを受けたような表情で崩れ落ちる。
「だが、女という立場で。しかも平民という立場でこれだけ巨大な組織を作り上げ、生来のカリスマで多くの者に命を張らせているお前は五万といない。唯一無二と言って良く、それは誰にも負けないと誇ってよい。一から作り上げるのは存外難しい」
そんなセレータへと僕は適当に慰めの言葉をかけていく。
「僕が評価しているのは組織の長としてのセレータである。誇りたまえ」
「……いや、女をいっぱい抱いている不潔なルガン様に言われてもでしょ」
「敬語を忘れるなよ?小童が」
「俺より小さいくせによく言うよ」
「……殺すぞ?」
「そんなことより俺たちは早く帰らないとだろう。孤児院の方でもう一人の王女様が寝ているじゃん」
「あぁ、確かにそうだな」
僕はノアの言葉に頷く。
「ということで、ここらで僕とノアは一旦帰るわ」
「えっ、あっ、うん」
「それじゃあ、また来るよ」
僕は急に襲撃を仕掛け、大して何も残さず。
ただ一人、自分だけが満足してこの場を去るのであった。
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