次の題目
「「……」」
仲間のうち一人を殺された二人の間に重々しい沈黙が訪れ、気まずそうな表情を浮かべている間に。
「さっさと治していくぞー」
僕は魔法でフルボッコにされていたノアの体を治療してやっていた。
「ほれ?大丈夫か?」
「……す、すごい……完全に治療されている」
体につけられていた数多の傷が全てなくなり、痛みも消えたであろうノアが驚愕の表情に目を見開きながら立ち上がる。
「ほいならよかった」
「……それで?こいつらはどうするんだ?」
満足げに頷いた僕に対してノアはすぐさま残っている二人の方に視線を送って殺意を浮かべる。
「「……ッ」」
「別にもう殺し合いはさせないよ。二番煎じなんてつまらん」
だが、僕はもう戦わせるつもりなんてなかった。
「な、なんで!?」
「あ?言っただろ、別に二階も同じ題目を見るつもりはない。お前がどれだけ恨んでいたようと知ったことではない」
「そ、そんな……理不尽な!」
「理不尽を恨んでいるのは多分向こうだぞ?圧倒的なハンデありで戦わされていたのだから」
「……うっ」
「ほれ、お前ら」
僕は悔しそうに俯いてしまったノアを無視して残った二人へと声をかける。
「二人が本拠地としている組織にまで案内してや。遊びに行く」
「……は?」
「えっ?」
「二人して首をかしげないでや。ただ、遊びに行くだけだよ?」
「……遊びに、ですか」
「……おひとり、でということですか?」
「この餓鬼も連れていく」
「そう、ですか」
「……なるほどぉ」
僕の言葉を受け、二人組は表情を見合わせがら悩ましい表情を浮かべる。
「テメェらのところは構成員がここまでコケにされ、道化にされ、それでも何とも思わないのかね?」
「「……ッ」」
そんな二人へと僕は挑発するように声をかける。
「……何の、ことかはわかりませんが、それでもお貴族様のご命令であれば逆らえませぬ。我らが組織へと案内いたしましょう」
「おう。最初からそれでよかったんだ」
僕は男の言葉に満足げに頷く。
「ということで老シスター、俺とノアはちょっくら遊びにいってくるから留守番を頼むよ」
「は、はへっ!?」
「そこの王女はしばらく起きないだろうから、適当なところに寝かせておいてくれ。起きる前に帰ってくる」
「……え、えっ!?」
「よし、行くぞ。ノア」
「もちろん!」
僕は老シスターへと一方的に命令を下した後にノアへと声をかける。
「……そ、それでは我々についてきてください」
そして、僕たちは男の案内に従って孤児院を後にするのだった。
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