疑惑
「終わったわ!」
僕がノアを魔法でしっかりと奴隷にしていた間。
暴漢を相手に無双してせっせと捕まえていたアレイスが満足気に頷く。
「おう……それなら良かった」
「……だから敬語。まぁ、良いや。それで?そっちの子に関しては大丈夫だった?」
「ん、問題ないよ。ちゃんと保護してある」
「……そうですね」
そして、続いて告げられたアレイスの疑問に対して僕とノアは共に答える。
「……なんか、そっちの子ってばちょっと不満げじゃない?」
だが、そんなノアの態度に疑問を抱いたアレイスが疑問の声を上げる。
奴隷にされれば誰だって不満は覚えるだろう……だが、それを大っぴらにするとは後でお仕置きだな。
「……ぶるっ」
「それで?お前はどこに住んでいるの?妹がいるって居るって言っていたよな?」
僕は不信げに告げていているアレイスの言葉を無視してノアへと声をかける。
「……言いましたね。自分はここから少し離れた場所にある孤児院の方に暮らしていますよ」
「へぇー、こんなところで孤児院ねぇ」
「なにか不満でもあるのですか?」
「いや、別にないよ……それで?僕もそこに行きたいから、案内してや」
「アレイス第二王女殿下はまだいいけど……ルガン様はちょっと、ですね」
「……別に私はいいけど、なんで?なんでルガンのことを拒否しているの?やっぱり二人での話の時に何かあったんじゃ……」
謎に僕への抵抗感を見せているノアにアレイスは
「ふざけるな、僕も行くぞ。お前に金をあげるのは一体誰だと思っているんだ?」
だが、そんなアレイスを再び無視して僕はノアの方へと声をかける。
「……持っているんですか?現金」
「おう。常に金貨三十枚は持っている」
「か、金持ちだぁ」
「そりゃ貴族何だし、当然だろ」
僕はノアとテンポよく会話を交わしていく。
「それじゃあ、案内しろ」
「了解しましたぁ……」
続いて告げた僕の言葉にノアは少しだけ不貞腐れながら頷き、体の向きを変える。
「こちらです。自分の方についてきてください」
そして、道案内のためにノアは歩き始める。
「おう、さっさと歩けよ」
「……わかりました」
僕はそんなノアの案内に従って歩き始める。
「ねぇ、待って?私の知らないところで何か起きていたりしないかしら?ねぇ、本当に大丈夫?」
「……」
「……」
「ちょっ!?なんで二人して私を無視するの!?せめてノア君は私の言葉に答えてくれてもいいんじゃないかしら!?」
僕とノアはアレイスの言葉には答えることなく先へと進んでいくのだった。
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