第42話 衝撃⑤
翔は立ち上がり、部屋を出ていった。ちょうど同じタイミングで、落ち着きを取り戻した鈴の母親も翔の前に現れた。
「ちょっといいかしら」
母親はそう言うと、翔と外にいた優と鈴を呼び、リビングへと案内した。そこで鈴が死んでしまった経緯を聞いた。
前日、翔とのデートから帰ってきた鈴は、デートでの出来事を話し続けた。その後、いつもと変わらない様子で眠りについた。朝、なかなか鈴が起きて来ないので、部屋に行くと寝ている鈴がいた。息はしていたが、呼吸は小さくなっていた。急いで救急車を呼び、病院で治療を施してもらったが、一命を取り留めることは出来なかった。死因は急性くも膜下出血だった。もう散々悲しみに打ちのめされた3人は、思いの外落ち着いてその話を聞くことができた。鈴の母親も、もうどうすることもかできないから、と諦めを悟ったように、落ち着いて話をしてくれた。特に疑問に思うことも無く、何かを聞くこともなかった。
「じゃあ‥‥私たちはこれで‥」
鈴の母親が話を終えると春が口を開いた。
「あ、うん。本当に来てくれてありがとう。鈴も3人に会えて喜んでいるわ。本当にありがとう」
鈴の母親はそう答えると、立ち上がって3人を玄関へと誘導した。
「じゃあ失礼します」
春がそう言い、3人は頭をさげた。鈴の母親も深々と頭をさげた。そうして、3人は鈴の家をあとにし、帰路へと歩き出した。
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