第41話 衝撃④
色々な出来事が頭の中を巡った。初めて鈴と会った日、初めて話した日、鈴のことが好きだと気付いた日、鈴に告白した日、初めてデートした日、ケンカした日、一緒にいた楽しい時間、一緒にいた幸せな時間、鈴の笑顔、鈴の匂い、鈴の温もり‥そして最後に、今はその何もかもを感じることができないんだという現実。それを理解した時、翔の目から涙が溢れてきた。どうしようもない気持ち。話しても返事がない虚しさ、寂しさ、辛さ、現実への無力感。何かに八つ当たりしようとも、何かのせいにしようとも、何も変わることはない。どうしようもないこの状況。変えることのできない現実。翔は泣きじゃくった。どんなに泣いても、返事はない。慰めてくれる温もりもない。孤独感。大切な人を失った時、世界の中で、一人にされたような気持ちになる。翔は今一人だった。現実と向き合った時、人はどこか冷静になれる時が来る。泣いても泣いても意味が無いと、諦め悟る。どこか冷めているようだが、それもまた現実だった。翔は現実と向き合い、受け入れ、泣くのを止めた。そして鈴に向かい
『こんな俺と一緒にいてくれて、こんな俺を愛してくれて、こんな俺の愛を受け入れてくれて、たくさんたくさん幸せを感じさせてくれて、本当にありがとう』
と、心の中で伝えた。
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